第20回 宿題をなかなかやらない子、どうしたらいい?!「学校の勉強が嫌いなのは、その他の突出した才能の芽を持つ可能性」〜叱らないで!その短所、お子さんの才能です。〜 文:小鳥遊 樹(たかなし いつき) イラスト:air,(エア)
※こんにちは、小鳥遊 樹(タカナシ イツキ)です。
子どもの造形絵画教室を主宰して24年目になります。
これはお母さん達の子育ての悩みを、
会話形式で説明・解決していく子育てコラムです。
文中のエピソードや登場人物は、
筆者の経験を元に、個人情報がわからないように変えてあります。
あらかじめご了承ください。
【お母さまの子育てのお悩み】
?:「どうしてうちの子って、勉強が嫌いなのかしら?
学校から帰ってきておやつを食べ終わると、
“宿題をやりなさい”って言うでしょう。
そうするとイヤイヤ始めるんだけど、
少しやると、ぼーっとして止まるの。
だから、“早くしなさい”って叱るのよ。
集中力がないし、コタツでゴロゴロし始めるし。
時間がかかるから、私もイライラして怒り始めるの。
呆れて放っておくと、
いつの間にかゲームをしたりテレビを見たり。
そのくせ寝る頃になって焦り始めて、
泣いたり不機嫌になったりするの。
これが毎日のように繰り返し続くのよ。
やり取りが憂鬱で疲れちゃう。
学校でも先生の言っていることが理解できないらしいのよ。
分かっていることでも、コツコツ努力するのが嫌いだし。
お友達は簡単にできることが、
どうしてうちの子には出来ないのかしら?
ホントにバカな子で。
毎日、毎日叱りきれないんですけど…」
T:「待って待って、叱らないで!
その短所、お子さんには他に突出した才能があるサインですよ。」
?:「あらイツキちゃん。
うちの子の勉強嫌いは才能じゃないわよ。
単純に努力することが嫌いなだけなの。
努力すれば誰だって出来ることなのに。」
T:「いえいえ、そんなことはありません。
大切に育てると突出した才能になる可能性があります。」
♦︎一見すると短所に見えるけれど…
?:「突出した才能ってなんの?」
T:「それは、まだ分かりません。」
?:「何を言っているの?
それじゃあ、どうすれば良いか分からないじゃない。」
T:「例えそうだとしても、やっぱり叱らない方がいいんです。」
?:「イツキちゃんにはそういう大変さが分からないから、
そんな事が言えるのよ。」
T:「お母様のお気持ちはよく分かります。
私もそうでしたから。
でも叱って無理矢理やらせると、
その時にしか、やらない子になりますよ。
叱らないと前に進まないお子さんを、
一生懸命育てていることになってしまいます。」
?:「ホントにそうなのよ。
言えばやる。
しばらくすると進まなくなる。
叱る。
少し進む。
この繰り返しなの。
そのうちに私がキレて、大きな声を出し始めるの。」
T:「言わないでいると、どうなりますか?」
?:「それも試してみたの。
驚くことにやらないのよ。
面倒だから忘れたフリをしているの。
ご機嫌でテレビをみてゲームをして、
こたつでゴロゴロして、
次の日そのまま学校に行っちゃって。
でも内心焦っているから、学校に行きたくないの。
放課後には学校の先生から電話がかかってくるし。
“宿題が出来ていないのでお家で見てあげて下さい”って。
もちろん子どもも学校で叱られるし。
結局また同じことの繰り返しよ。
もうため息しか出ない。
授業中も手を挙げられないでいるみたいで。
お友達との差が開くばっかりね。
ホントに困っているのよ。」
T:「それは辛いですね。」
?:「そうなのよ。
勉強が嫌いな子って可哀想よね。」
T:「いえいえ、勉強が嫌いとは限らないです。」
?:「イツキちゃん、私の話を聞いていた?
先生の話が理解できないのよ?」
T:「お聞きしていました。
でも、学校でやっている授業の内容が分からないというだけで、
勉強が嫌いとは限らないんです。」
?:「みんなが同じ様にやる、一番簡単な義務教育なのよ。
それさえ分からないんじゃ、どうしようもないじゃない。」
T:「そんなことはありません。
自分の好きな勉強ならば喜んでやる子はたくさんいますし、
好きな分野から始めていくと、
興味のない分野の勉強が、簡単にクリアできる事もあるんです。」
?:「どういう事?」
T:「やりたいことがある子は、
自分に関係のないことをしていることに、
すごく苦痛を感じるの。
自分が興味のないことはやりたくないんです。」
?:「小さな時はみんなが覚える基本的なことを、
一緒に覚えなければ仕方ないでしょう?
それにうちの子にはやりたいことなんてないわ。
何をするのも面倒臭がりで、単純に勉強が苦手なの。」
T:「お母さんの仰ることは分かります。
でも、学校の勉強以外の才能が強い子は、
人と同じことをやるのが難しいのです。
抵抗があるというか、やりたくないの。
それはワガママではありません。
尖った才能を持っている子たちは、
やりたいことからやらせた方が自信になるの。」
?:「やりたい事をやりたい様にさせる学校に行きなさいってこと?
うちにそんなお金はないわよ。」
T:「本当はどの学校でも、
得意な勉強が、好きな時に好きなだけできれば良いのです。
そうすれば自分の頭で考えて、子どもは動くのです。
今の教育制度では難しい事ですよね。」
?:「ほらね。
可哀想でも何でもやらせるしかないのよ。」
T:「いえ、それは違います。
だって、勉強ができないのはお子さんのせいではありませんから。」
【才能の特徴】
♦︎子どもの視点から、この状況を見てみると
?:「元から頭が悪いから仕方ないって言いたいの?
だったら余計に頑張らせなきゃダメじゃないの。」
T:「お子さんの視点で、この状態を見た時に、
どんな状況だと思われますか?」
?:「“子どもの視点で”って、どういうこと?」
T:「生まれてから小さいうちは、
何をやっても褒められますよね。
ストローで水が飲めるようになっても、
スプーンを使えるようになっても。」
?:「確かにそうね。
一つひとつに感動したわ。
歩けるようになった時も、靴が履けるようになった時にも、
手を叩いて喜んだのを覚えている。」
T:「成績がつかないうちは、みんなが平等です。
楽しく園庭を走り回っています。
その時には人に優しくするとか、
人を助けてあげることを褒めてもらえます。
でも、学校に通うようになって成績がつき始めると、
成績イコール人間の評価みたいになっていきます。
それって、子ども達の立場に立ってみると、
なんだか理不尽な感じがしませんか?」
?:「それは学校が勉強をするところだから、
仕方がないでしょう?」
T:「親が学校に通わせてあげることは義務ですが、
学校でしている範囲の勉強が出来ないのは子どものせいではありません。
人にはそれぞれ適正というものがありますから。
義務教育が全て必要のない子だっているんです。
大切なお子さんのために、
どれだけの自由に、好きな勉強をできる環境を獲得するかも、
お母さんたち次第なのです。」
?:「イツキちゃんの言いたい事はわかるわよ。
私も疑問に思う事はあるもの。
人生にいらない勉強も確かにたくさんある。
でもね、とりあえずやってみないと、
将来に何が必要かわからないじゃない。
どれでも出来るようにしておいた方が、
選択肢が広がるでしょう?
それは子どものためなのよ。」
T:「どれでもできるようにしておいた方が、
選べるから全部頑張らせる。
将来、国公立への進学も有利ですし。
お母さんたちは、
無理やり嫌なことをやらせたい訳ではありません。
大切なお子さんが、
仕事やお金で困ることがないようにさせてあげたいだけです。
学費だって安い方が良いに決まっている。
何になるにしても、
とりあえず学力をあげておけば安全と考えるのです。」
?:「本当にその通りよ。
憎くてやらせている訳じゃないわ。
幸せになって欲しいから口うるさくなるだけなのよ。
今頑張らなくて、いつ頑張るの?って。」
T:「でも、お子さんは勉強をしないし、やりたくない。」
?:「全くもってその通り。
ホント、親の心、子知らずだわ。
もう泣けてきちゃう。」
T:「子どもが筋道を立てて話が出来るなら、こう言うと思うんです。
どうして分かってくれないの?
嫌なものは嫌だし、できない事はどんなに怒られても出来ない。
勉強ができないと、うちの子は頭が悪い!って言われて、
僕の心はズタズタになる。
点数が取れなくて勝手に順位をつけられるのも嫌だけど、
何より大好きなお母さんの、
自慢の子どもになれない劣等感に傷つくんだよって。」
?:「あのねぇ、イツキちゃん。
うちのバカ息子がそんなこと思う訳ないでしょう?
そんな立派なことを思えるのだったら、もっと自主的にやるわよ。
自主的にやるどころか、
叱る度にどんどん反抗的な目になっていくのよ。」
♦︎天から頂いた才能は、どの子も全員持っている
T:「反抗的になるのは、自分はこれをしたくない、
する必要がないという、精一杯の意思表示です。
もっと生き生き出来るものを探してあげる必要があります。
どれでも選べるように、どれも頑張らせるという話は、
才能を伸ばすという点でいけば、やらない方が良いことです。
全てを無理に頑張らせると、
やりたいことの意欲まで削れてしまいますから。
好きなことに向かって努力するようになると、
今まで毛嫌いしていた勉強でも必要なことはやるようになります。
突出した才能を持つ子たちにとって大切なことは
どれでも平均的にできることではなく、
夢中になれるものに向かっていく意欲なのです。」
?:「言っていることはわかるけど、それって大きな賭けよね。
平均的に努力させることを止めるなんて出来ないわ。
入学金や授業料の安い学校に行けるに越したことはないもの。
一回脱線したら元には戻れないでしょう?
嫌な勉強をしなくても良いなんて、とても言えないわよ。」
T:「小さいうちに花開くものって分かりやすいですよね。
例えばスポーツで強化選手になるような種目とか、
バレエや音楽で留学するような才能って。
みんなひと握りの天才だと思っていますが、
天から頂いた才能は、本当は全員が持っているの。
花開かせる時期が遅いか早いか、
時間や経験を要するものかどうかで、
見えやすさが変わってしまうだけです。
ミュージシャンやアーティスト、
職人になるような子も自分の道をいくでしょう?
同じ道を歩いていたら、人と同じ人生にしかならないんです。
だから自分の中の何かが抵抗を示す。
学校にバカな子と優秀な子がいるのではありません。
義務教育の範囲を一生懸命にやることで花開く才能の子と、
それ以外の才能を持っている子がいるだけです。
全員が義務教育で資質を比べられるのはおかしなことです。」
?:「ほんとだ!確かにおかしい。
でもね、義務教育をすることで、
全ての人が同じぐらいの学力が持てるようになるのよ。
それは大切なことだと思わない?」
T:「義務教育は文盲率を減らすためには大きな役割を果たしましたが、
子育てをしている現代の親御さんで、
文字を読めない人は、ほぼいないと思います。
テレビもネットも普及していて、
自分の好みにカスタマイズされていく時代です。
一斉に横並びで競争する教育はなくても大丈夫。
勿論社会に出る前に、ある一定の学力は必要です。
けれど学ぶ分野も順番も速度も、同じである必要はありません。
ひと昔前であれば、
そんなバラバラなことをさせたら収集がつかなくなりました。
今はコンピューターで管理ができるので、何の問題もないのです。
同じことを同じようにやらせて順番をつけ、
やる気を削いで劣等感を背負わせても、
子どもたちにとって幸福なことは、ひとつもありません。
大きな転換期に来ています。
これからは、それぞれの才能を活かすギフテッド教育に変えていかないと。」
*注:ギフテッド教育
?:「カリキュラムに合わせて子どもに無理をさせるのではなく、
時代に合わせて、
一人ひとりの子どもの才能を伸ばす教育制度に変える必要があるのね。」
【才能を育てるためだと思ったきっかけの経験】
T:「お母様のおっしゃる通りです。
私がこの短所を才能の芽だと思った、
きっかけを聞いていただけますか?」
?:「聞かせてください。」
T:「私は随分と特徴のある子どもでした。
プライドや自己主張が強く、感情的で夢見がちな、
一斉に同じことをするのが苦手な学校嫌いの子どもです。
そんな子どもが教師の娘に生まれるというのも皮肉な話です。
当時は40人がひとクラスで、
静かに先生の話を聞いている状態というのが耐えられず、
別のことを考えていては、先生がすでに話したことを質問して、
“今言っただろう!”と怒られました。
学科に関しても、特に数字に関することが壊滅的でした。
小学校の中学年くらいの算数で、
もうついていけなくなったのです。
先生の説明が分からないのに、
ずっと座っていなくてはならないことが、どんなに苦痛か。
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体育も嫌いで給食も苦手、
私の好きな場所は図書館と工作室でした。
そのうちに学校も度々休むようになりました。
不登校という言葉もなかった時代です。
私は創作に関係する教科だけに、生き生きと反応する子どもでした。
だから、美大に入るという目標を持った途端に、
嫌いな科目も一生懸命できるようになったのです。
もしも創作の道も絶たれていたら、
何もできない人間として、ずっと劣等感を背負っていたことでしょう。」
?:「それは大変だったわね。
そう言われて思い出したけど、
私は国語のテストの答え方がさっぱり分からなかったわ。」
T:「娘も小学校の頃に、
算数の文章問題がさっぱりわからない子でした。
とにかく一生懸命な子で、
本人が望むままに学習塾に行かせました。
けれど、どれだけ真面目にやっても、
思うような点数は取れなかったのです。
そのことを本人はとても苦にしていました。
彼女は小学校と中学の時に一回ずつ、
“希望する高校に受からせてあげられそうにないから他の塾に。”と、
転塾を勧められています。
本人は一生懸命なのですが、
義務教育は、とても難しいことだったようです。
ある日、中学校にいる娘から電話がかかって来ました。
何事かとびっくりして、「どうしたの?」と聞いたら。
「テストで100点が取れたの。」というのです。
「それは良かったね。」と電話を切ってから、
私は申し訳なくて涙ぐんでしまいました。
そんなにテストの点数を取れることが、
私が望んでいると思わせたことについてです。
全教科を塾に通っていながら、思うような成績にならないことを、
親に申し訳ないと思ったようです。
だから私は、よく話をしました。
“大丈夫だから、心配しないで。
ただ好きなことを一生懸命やっていてごらん。
あなたのような資質の子は、
自分で考えてやる勉強になった時に、本当の才能が開花するから。
大学に行けばとても楽しい勉強ができると思う。
思うような成績が取れないことを心配する必要はない。”と。
大学に入ってからの彼女は、
水を得た魚のように好きな勉強に没頭していました。
彼女は今でも学びが大好きです。
おそらくは一生をかけて、好きな勉強をしていくのだろうなと思います。
自分の頭を働かせて、自分にしか出来ないことを作っていく子は、
義務教育が合わない子もいるのです。
私が24年間に多くのお子さんと接してきた中でも、
それは実感としてあります。
義務教育で点が取れなくても、
親御さんから多くの愛情をかけられて、
やりたいことをやりたい様に実験できた子たちは、
生き生きと人生を歩んでいますね。」
?:「イツキちゃんの家は、親も子も学校で苦労をしたのね。
そう言われてみれば、私も散々怒られたかも。
だから、子どもにも、つい厳しく言ってしまうのかも知れない。
やっていることが許せなくて、
子どもを責めたり、嫌味を言ったりしてしまうけど、
自分も同じ育てられ方をしたからなのでしょうね。」
T:「親は学校の勉強ができる我が子は自慢に思います。
けれど、資質に合わないことを、
無理矢理に引っ張って伸ばしても、
先に行って苦労するのは目に見えています。」
?:「子どもに無理をさせるなってこと?」
T:「無理をさせて良いことは何もないのです。
例え成績が上がって、親の望む学校に入れても、
学ぶことが嫌いになって、
頭や心を働かせなくなってしまっては勿体無いでしょう?
人は一人ずつ、必ず自分の生き生きできる分野があるのです。」
【この才能の芽を叱って枯らしてしまうと…】
?:「でもねぇ…実際問題として
宿題も、やらなきゃいけないことも進まないのよ。
とりあえず怒るしか手がないじゃない。
宿題をしないまま学校に行ったら、
先生にも怒られるでしょう?」
T:「もちろんその通りです。
でも、叱らなくても良いんです。
優しく同じ調子で伝えるだけで。」
?:「何度も同じこと言わせられたら
腹がたつじゃない?
怒っても当然でしょう?」
T:「それがですね、怒ってしまうと
どうなるかと言うと…」
?:「余計に勉強が嫌いになって、
言った時にしか、やらなくなるんでしょう?」
T:「学ぶ意欲って、人類に与えられた素晴らしいギフトだと思うの。
でも意欲が先に取り上げられちゃうと、
いやいや学校に通わなければならない後の人生が長すぎて…」
?:「長すぎてどうなるの?」
T:「自分は何も出来ないんだと、劣等感や不満を感じながら、
残りの人生を消化していきます。」
?:「残りの人生って、うちの子はまだ10歳よ?
あと90年もイキイキできるチャンスがないってことなの?」
T:「子どもって、お母さんのこと大好きでしょう?
本当はお母さんの自慢の子どもになりたいの。
お母さんに笑顔でいて欲しい。
でも自分が勉強をできないからダメだとなると、
全てを諦めて依存性のあるものに逃げてしまいます。
メンタルを病んだり、自殺をしたり、ネトゲ廃人になる人って、
本当はちゃんとある、自分の人生を見つけられなくて絶望してしまうのです。
親御さんの、こうあって欲しいという理想が強すぎると、
自分の人生の迷子になるのね。」
?:「そういうことじゃないんだけどねぇ…
もう、ホントにどうしていいか分からないわ。」
T:「見えているものだけで、
すべてを支配しようとしないことですね。
勉強ができないことを責めるというのは、
化ける可能性さえ摘み取ってしまいますから。」
♦︎押し付けの勉強は、化ける可能性を摘み取る
?:「化けるってどういうこと?」
T:「分かりやすい例であげると、
料理の上手な子が留学をしたくて、
いつの間にかフランス語ができるようになるのって不思議じゃないですか?」
?:「あ、その感覚わかる!
友達の子どもがサッカーを大好きで、スペイン語の勉強をしているの。
その意欲があるなら、英語をやって欲しいって嘆いていた。
友達も韓流ドラマを好きで韓国語の勉強を始めたのよ。
好きって大事よね〜。
ああそうか!
イツキちゃんの言いたい、化ける可能性ってそういう事?」」
T:「自己肯定感があれば、
その時に降りてくる直感に従って何でも挑戦できるんです。
時期は人によって違うので、一斉ではありません。
劣等感しかないと、最初からできるって思わないから、
チャンスが訪れても、挑戦せずにずっとそのままなのです。」
?:「自分にいろんな可能性があるって思えなくなっちゃうのね。
学校教育がトラウマになっちゃったら意味ないわよね。」
T:「いつのまにか私たちは、
成績がよくなるようにしてさえあげれば、
あとはなんでもできると思い込んでしまいました。
頭が良くてテストの点が取れても、
意欲や経験値のない人は、発想力のない人になってしまいます。」
【才能の伸ばし方のアドバイス】
?:「学校での成績は関係なく、
学歴も関係なく、
子どもの才能の芽を発芽させるのは安心感や勇気ってことなのね。」
T:「本当にその通りです。
宿題が出来なかったらそれを怒るのではなく、
お子さんが苦しまないためにはどうしたら良いのか、
学校の先生と話し合いを重ねて欲しいのです。
宿題は義務ではありません。
先生によって出す量も中身も全然違うんです。
拒否権もあると思えることも、親には必要だと思います。」
?:「拒否ですか?
イツキちゃんって、ニコニコしながら思い切ったことを言いますね。」
T:「理解力がない。
だから長時間、量をたくさんやらせれば出来るなんて、
おかしな考え方だと気がつく時が来ています。
逆に、すでに理解していて宿題が必要のないお子さんにも、
同じ内容で同じ量を出すことも時間の無駄なのです。
宿題があること自体、
無理なお子さんもたくさんいます。
学校の勉強で椅子に長時間座って、
緊張状態に置かれるだけで疲れてしまう。
そんな性質のお子さんだっていらっしゃいます。
家はのんびりできる場所にしてあげた方が良いでしょう?
通知表だって法律で義務付けられたものではありません。
うちは必要ないです。という親御さんがいてもおかしくはない。
伸ばす必要のない分野を評価されることで、
才能の芽が枯れてしまうこともあるので。」
?:「親は、変な劣等感を持って自己否定に走らないように、
子どもを守ってあげなくちゃいけないってことなのね。
すごく大きな勘違いをしていました。
将来自由に羽ばたくために、
今は子どもが嫌がっても、
必死になって型にはめようとしていた。
気が付いて良かったです。」
T:「そんなふうに言って頂けると嬉しいです。」
?:「でも、学校の勉強ができないことって、
本人が一番感じることでしょう?
子どもって大人が比べなくても、子ども同士で比べますから。
そんな時に劣等感を持たないためには、
どんなふうに教えてあげたら良いの?」
T:「第1回から第15回まで、
お子さんの短所がどんな芽に育つかをお伝えしてきました。
子どもって単色ではありません。
いろんな才能を混ぜて、ひとつの個性になっていきます。
短所が現れるタイミングも、人それぞれみんな違います。
その時に出ている短所を見つけて、
経験値を積み重ねる方法は、それぞれの回に書いてあります。
バッドプレゼントを渡さないように、
お子さんと一緒に楽しんで、自信をつけてあげて欲しいのです。
同時に、一人で暮らすようになった時に困らない生活の知識を、
ひとつずつ体験させてあげることも大切です。
生活の様々なことができるようになってくると、
それも自信に繋がります。
人として生きる上での土台を丁寧に作ることですね。
きちんと寝る、運動をする、栄養のある食事を適量とる。
リラックスをする、夢を持つ、人生を楽しむ。
そんな当たり前のことです。
一番は周囲や社会に愛されていて、
自由に生きられるという実感と、
このままで大丈夫という安心感をお子さんが感じたうえで、
努力できることを一緒にしてみることです。」
?:「時間も手間もかかりますね。」
T:「本当にそうですね。
でも、一緒に楽しく遊んだり会話をしたりすることで、
親も子も成長できるんです。
大きなお金をかける必要もありません。
そんな簡単なことで、根拠のない自信を持つ、
安定感のあるお子さんが育って、
まだこの世に存在しない、
可能性を作る誕生に立ち会えるかも知れないなんて、
ちょっとワクワクしませんか。」
?:「せっかく授かった子どもです。
子どもが心から笑顔になれるように、
私も楽しんで頑張ってみたいと思います。」
T:「親は、自分が成長をしたくて、
子どもを育てるという経験値を重ねる時間を頂きました。
親の理想を押し付けず、あるがままを大切にするだけで、
無限の可能性や希望に繋がっていきます。
親御さんにもお子さんにも幸せになって欲しいですね。」
【お母さま達へのエール】
♦︎意欲と勇気を育てる子育て
T:「この才能を持つお子さんのお母さまは、
現状の教育制度の枠にハマることができずに、
不安や苦労が多くて大変です。
けれどお子さんの資質を否定せずに育てると、
他の分野で突出した才能になる可能性があります。
是非この才能を育ててみて下さい。」
?:「イツキちゃん、確認なんだけど、
成績が悪くても怒らずに、
“大丈夫だよ。
あなたには素晴らしい可能性があるから心配しないで。”と、
安心させてあげれば、
他のことへの意欲や勇気に繋がるのでしたよね?」
T:「お母様、素晴らしいです。
30代になってから花開く才能もあるので、長い目で見てあげて下さい。」
?:「ちょっと不安だけど、やってみます。」
T:「ありがとうございます。
お母様も不安なのですが、
どうしてそうなっちゃうのか分からずに、
学校の成績が悪くて不安なのは、お子さんなのです。
“あなたの才能は、
まだこの世の中にないものを生み出すかも知れない。
だから、現在の学校の制度では計れないものを持っているの。
本当にやりたいことを見つけた時に、
それに向かって努力すれば良いだけなのよ。
何も心配せずに堂々としていらっしゃい。“と、
言ってあげて欲しいのです。」
?:「なるほど!よく分かりました。
今まで叱ってごめんね。と、子どもに謝ります。
イツキちゃんありがとう!」
T:「こちらこそ!
話を聞いて下さってありがとうございます。
お子さんが心身ともにそばにいてくれるのは、
高学年になるまでの10年くらいであっという間です。
限られた時間を楽しくご一緒に過ごして下さいね^^。」
〜叱らないで!その短所、お子さんの才能です〜
第20回「学校の勉強が嫌いなのは、
その他の突出した才能の芽を持つ可能性」を、
最後までお読み頂きありがとうございます!
いつでもテストの点が悪く、授業や宿題に集中しないお子さん。
勉強が得意な、頭の良い子になるようにと、
今まで一生懸命に叱ってきたお母様。
成績が悪い子を、
叱らない方が良い訳をお分かり頂けたでしょうか?
このコラムでは叱らなければいけないと思っている短所の多くが、
どんな才能に成長するかを20回にわたって、お話させていただきました。
今回で最終回です。
今まで、お読みいただき、本当にありがとうございました!
私は、あなたと大切なお子さんの才能の素晴らしさを知っています。
そして、あなたのことを、とても大切に思っています。
作者:小鳥遊 樹さん
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