第8回「言動が変わっていると言われるのは、芸術的で独創的であることの才能の芽」 〜叱らないで!その短所、お子さんの才能です。〜 文:小鳥遊 樹(たかなし いつき) イラスト:air,(エア)
※こんにちは、小鳥遊 樹(タカナシ イツキ)です。
子どもの造形絵画教室を主宰して24年目になります。
これはお母さん達の子育ての悩みを、
会話形式で説明・解決していく子育てコラムです。
文中のエピソードや登場人物は、
筆者の経験を元に、個人情報がわからないように変えてあります。
あらかじめご了承ください。
【お母さまの悩み】
?:「どうしてうちの子って、
言うこともやることも変なのかしら?
なんだかとっても違和感があるの。
話も合わないし、笑うタイミングも違うし。
全く別の世界を見ているっていうのかな。
わざわざ人と違うことをしようとするのよ。
毎日、毎日叱りきれないんですけど…」
T:「待って待って、叱らないで!
その短所、お子さんの才能ですよ。」
?:「あらイツキちゃん。
うちの子の異質な感じは才能じゃないわよ。
よくいるじゃない、いわゆる変な子。
みんなと同じことが出来ないだけなの。」
T:「いえいえ、そんなことはありません。
大切に育てるとアーティストの資質や、
第6感が優れた才能になります。」
?:「えー?ホントかしら。
超変わり者以外の何者でもないんだけど。
変な魔法陣を描いて、呪文を唱えたりするのよ。
好きになる絵も、およそ子どもらしくない気味の悪いものなの。
幻獣だの幽霊だの。
ペットに爬虫類を飼いたいとか言い出すし。」
T:「それは本人の中にあるアーティストの才能が育っているのです。
芸術家って人と同じことをしていたら、なれないじゃないですか。」
?:「そんな感心する様なものじゃないのよ。
いきなり服を脱いで体に布を巻きつけてみたり、変な踊りを始めたり。
屋根に登ったと思ったら星に向かって叫んでみたり。
宇宙人を呼ぶ祈りとかなんとか言っちゃって。
そうかと思えば私の化粧品を勝手に持ち出してきて、
顔中に変なメイクをしているの。」
T:「この世の中にない価値観や事象って、
初めて触れると、みんな違和感に感じるでしょう。」
?:「それはそうだけど。」
T:「お母さんには経験がないですか?
小さい頃に漫画を読んでいて、
こんなに鼻が高くて足の長い人間が
いるわけがない、と思ったこと。
今はそういう人だらけでしょう?」
?:「その感覚はよく分かるわ。
子どもの頃に漫画や小説に出てきて、
今は現実になっているってたくさんあるわよね。」
T:「みんながドラえもんにワクワクするのも、
そういうことだと思うのです。」
?:「タケコプターもドローン技術で現実のものになりつつあるわね。
イヌ型ロボットもいるし。
ハワイに行けるどこでもドアも、早く欲しいわ。」
T:「大人になって、頭に竹とんぼさして
“これでいつか空を飛ぶんだー”と、
走り回っていたら言っていたらおかしな人です。
でも、それって芸術家だと思いませんか?
普通の人から見て奇異なことに、夢中になって取り組む。
あとの世になると、それが認められたり感動を与えたりします。
子どもや芸術家って予言者なのですよ。
未来を歩く地図を内蔵して生まれてきています。」
?:「そうであるのなら、
最初から突出した面白いものを作れば良いでしょう?
それでコンクールとかで賞なんか取れば、
こちらも分かりやすいし応援しやすいじゃない。
どうしてあんなに言動が変なの?」
T:「可能性の実験と失敗を繰り返しているからだと私は思うのです。」
?:「可能性の実験と失敗?」
【才能の芽だと気付いたきっかけ】
T:「アトリエはクリエーターやアーティスト寄りの習い事です。
24年間の間には、
本当に個性豊かなお子さんが、たくさん通ってくださいました。
アトリエに入る時の面接で申し上げるのが、
入会の理由はどんなことでも構いません。
例えば中学に入ってから美術の成績を上げたいから。とか、
家でやれないことを思いっきりさせてあげたい。など。
無料体験が4回できますから、
3回目の時に、ご本人が入りたい意志を示してくれたら入会できますと。」
?:「いやいや入っても仕方がないものね。」
T:「いろんな習い事をして続かなかったけれど、
アトリエは喜んで行っている。とおっしゃる方もいました。
たくさんの習い事に通う中で、
アトリエは息抜きだから自由にのんびりさせてあげて。と言ってくださる方も。
本人が作ることが好きだから、
特に望むことはなく、ただその空間に置いてあげたい。と言う保護者様も。」
?:「素敵な理由ですね。」
T:「生徒さんたちに話すのです。
“こんなに高いお月謝をかけて、特に何かになれるというわけでもなく、
時間もかけてお疲れのところを送り迎えしてくださる親御さんには、
きちんと感謝の気持ちを表せる人になってください。“と。」
?:「確実な技術が身につくわけじゃないものね。」
T:「それなのに、こんなにも多くの人がこんなにも長い間通ってくれる。
それはどうしてなのだろう?と不思議に思ったのです。」
?:「ふんふん、それで。」
T:「私は自分自身がめちゃくちゃわがままです。
ホントに文字通り、我が儘にしていたいの。
当然生徒さんがわがままでいられるためには、
どうすれば良いのかという視点で指導にあたります。
一人一人が自分で居られるためにはどうすればいいのか?
コンクールが嫌いな子は、コンクールに挑戦をしなくても良いように。
絵を教えられるのが嫌な子には、できるだけ自分の気持ちで描ける様に。
同じ絵でも、薄い絵と濃い絵が好きな子がいます。
どちらの子も嬉しいと思えるためにはどう教えれば良いのか?
同じ空間にいて同じ課題をしていても、
できるだけその子がその子でいられる様に。
自分の資質に自信を持つためにはどうすれば良いのか?を、
ずっと考えてきたのです。
そして、その子の個性を褒める様にしてきました。
立派なものを作るとか、お手本に近ければ良いという基準にしなかったのです。」
?:「なるほどね。
子どもをイツキちゃんの価値観に合わせるんじゃなくて、
それぞれの価値観を引き出そうとしているんだ。」
T:「そんな私の上をいく発想で、
こうして良いか?ああして良いか?と聞いてくる生徒さんがいます。
とにかく自分流にカスタマイズしたいの。
それで、“聞けることと、聞けないことがあるよ。”という話をします。
大きくなってくると、
自分流を貫いている子の方が個性的な展開をするのです。
親御さんや私に褒められる様にではなく、
自分の頭で考えて、やりたいことをやっている子ですね。
大人が何を望んでいるかを気にしてしまうと、
人の望みを叶えようとする分、本人の個性が減るのです。」
?:「なるほどねぇ。」
T:「私もなるほどと思いました。
とんがった才能はとんがったままに育てると、
とても面白いものに変化するのだと、
時間の経過と共に身をもって知りました。
あまりに自己主張が過ぎる場合には、
昔は“控えなさい”と叱っていたのです。
その頃は私が未熟で申し訳ないことをしました。」
?:「え?でも叱るしか仕方がないでしょう?
聞けることと聞けないことがあるんだし。」
T:「もちろんそうなのですが、
わがままだと思わず穏やかに
“それは無理だよ、私にも事情と都合があるからね”
と言ってあげれば良かったの。
お子さんの変な言動や、奇異な行動は、一見すると短所に見えます。
けれど、実は芸術や第6感が優れた才能になるということをご理解頂きたいのです。」
【才能の特徴と対処法】
◆この才能の特徴(短所として現れる)
・変な子と言われることが多い
・人と違うことをしたり言ったりする
・列からはみ出す
・いきなり呪文を唱える
・見えないものが見えるよと言ったりする
・突飛で奇異に感じる言動
・自分のルールで行動する
・わざと今までと違うやり方でやってみようとする
・人に合わせようとしない
・変だと感じる服や髪型にしようとする
◆短所に見える状況の対処法
?:「こっちにだっていろいろ都合があるのに、
どうでも良いことにこだわって、
何度も同じこと言わせられたら腹がたつじゃない?」
T:「それがですね、
怒ってしまうと、どうなるかというと…。」
?:「どうなるの?余計に変になるとか?」
T:「そうなんです。
しかも自信のない変さだけを残してしまいます。
自己表現に昇華する機会を逸してしまうのです。
自分はおかしいと思い込んで、
うちに閉じこもるという形になります。」
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?:「そんなくらいなら、
どんなに変でも自信を持って外に出してくれた方が安心します。」
T:「この才能を持っている子達は、独特な個性を、
どれだけ形にできるかが大切です。
否定するんじゃなくて、もっとのせちゃうってことですね。」
?:「そうしたら、素晴らしく芸術的なものが生まれてくる瞬間が見られるかしら?」
T:「人間は一つの才能だけを持っているのではないんです。
いろいろな才能を混ぜ合わせて、新しいものが生まれてきます。
ずっと大人になってから、その時の経験が生きるのかも知れないし、
直結しているわけではないんですよ。
だからいつ形になるか、どんな可能性になるかは未知なのです。
でも否定はしないように気をつけてあげてください。」
?:「人と同じだと嫌だから困っちゃうの。
いつも列からはみ出すっていうのかな。
みんなと違う方向に行きたいというのは集団の中では迷惑でしょう。
お友達と同じ様にしなさいと言ってもダメだし。」
T:「個性を叱ってネガティブな資質に育てるか、
認め育てて未来を照らす創造性にするかによって、
その子の人生は大きく変わります。
親の愛情のかけ方次第ってことです。
どんなへんてこりんに思える資質であっても、
時間と愛情をかけて、
本人のふわふわしたイメージを育てるって大切なことなんです。
“イメージを形にするのを手伝ってあげるから説明して。”と言われても、
お子さんは困るだけなので気をつけてくださいね。」
?:「変な子って思っても、それがあなたの個性で宝物。
大人になったら、素敵なものを作り出す魔法使いになれるよって、
お応援してあげれば良いのね。
人と感覚が違うから、
日常生活でも、いろいろストレスに感じることが多いみたいだけど、
何か発散方法がありますか?」
◆エネルギーの発散方法
T:「このエネルギーの発散方法としては、
神話の読み聞かせをしてあげる。
偉人の伝記なども天啓を受けていることが多いので参考になります。
夢みたいと思えるものをたくさん見せてあげる。
光のパレードとか、イルミネーションのテーマパークとか。
絶景とかパワースポットを巡る旅も。
旅が難しければ、映像で旅をしてみても良いと思います。」
?:「それは、私もワクワクします。」
T:「他にも、民族音楽を聞かせるとか瞑想状態を作ってあげるとか。
とにかく意に沿わないことを無理にさせられることに、
ものすごくエネルギーを持っていかれる才能なのです。
何が心地いいのか、よく観察してみてください。」
?:「まだ他にもありますか?」
T:「例えばバンド活動とか、爬虫類を飼うなども良いと思います。
鉱物の博物館なども。
デザインフェスタとかコミケとかコスプレなども面白がると思います。」
?:「面白そう。早速何か計画してみます。」
◆アトリエの授業では
T:「この才能を伸ばすために、アトリエではこんなことをしています。
例えば、パワーストーンのブレスレットの講習会。
占い大全を読んであげるとか、ゴスロリナイト。
神経衰弱やサイキックな能力を伸ばせるカードゲームもやります。
ナイトミュージアムツアーに行ったり、お面を作ったりも面白いです。
コピックという画材を使ってイラストを描いてもらうのも。
アトリエ展では自分のイメージを形にしようというのをやります。」
?:「どれもうちの子が喜びそうです。」
◆将来に活かせる道
?:「この才能を育てて行くと、どんな職業に結びつくのでしょうか?」
T:「いろんな可能性があると思います。
“人に見えていないものが見える”とか、
“いまこの世にないものを生み出す”がキーワードです。
どんなものがありますか?」
?:「人に見えていないものが見える…
ご葬儀の関係とかはどう?
この世にないものを生み出すのは、発明や芸術って
イツキちゃんに教えてもらったわ。」
T:「人にわからない価値がわかるとかでも良いですよね。
骨董品や芸術作品の蒐集家もそれにあたると思います。
先見の明のある子って、
ネットオークションも使いこなせますよね。
あとで価値が出ることを予言するわけですから。
もちろん本人は面白いと思うものを集めているだけなのですが。
霊能者やシャーマン、宗教の教祖になる様な人や占い師さんもそうですね。
ネットが発達して、この分野の方がとても多いことに驚かされます。
古代から人間は、呪術に頼って生活や政治をしてきた様な部分があります。」
?:「私も占いはつい見てしまいます。
最近はサイトも動画も雑誌の特集でも多いですよね、
占いとか占星術とか。」
T:「そういうことを心の拠り所にしている人が、
こんなにもいるのだと分かる良い時代になりました。
自分は異端ではないと、
形として目にすることができるわけですから。
お祓いや、まじないなどもこれにあたるでしょう。
香りを扱うお仕事、例えば調香師なども感覚的なお仕事ですね。
デザインや絵画、ファッションや音楽などいろんな分野の芸術家も。
幻想的な舞台芸術とか特殊メイクの様な世界も。
それらの世界のディレクターもです。
バーテンダーやベリーダンサー、
ポールダンサーの様なお仕事もそうだと思います。」
【お母さま達へのエール】
T:「この才能を持つお子さんのお母さまは、
奇行や突飛な言動に振り回されて大変です。
けれど、この資質を育てると素敵なアーティストの才能になります。
未来を豊かに歩ける才能なのです。
今ある社会の枠や常識にとらわれず、
実験や失敗を楽しみながらこの才能を育てる子育てをしてみて下さい。」
?:「なるほど!よく分かりました。
今まで叱ってごめんね。と、子どもに謝ります。
イツキちゃんありがとう!」
T:「こちらこそ!
話を聞いて下さってありがとうございます。
お子さんが心身ともにそばにいてくれるのは、
高学年になるまでの10年くらいであっという間です。
限られた時間を楽しくご一緒に過ごして下さいね^^。」
第8回「言動が変わっていると言われるのは、
芸術的で独創的であることの才能の芽」
〜叱らないで!その短所、お子さんの才能です〜を、
最後までお読み頂きありがとうございます!
人とは違うことを言い変わった行動に走る子を、
普通の子になるようにと今まで一生懸命に叱ってきたお母様。
理解ができないしみっともないと思っても、
叱らない方が良い訳をお分かり頂けたでしょうか?
このコラムでは叱らなければいけないと思っている短所の多くが、
どんな才能に成長するかをお話しさせていただきます。
次回は甘えん坊で依存的なお子さんの才能です。
ついついイラついたりムカついたりして怒ってしまうような、
お子さんの問題行動や直らない癖。
そんな短所に困っているお母様は、
「これってどんな才能なの?」と、質問してくださると嬉しいです。
出来るだけ状況を詳しくお書きくださいね。
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