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【最終回】私の人生が上手くいくはずない…壊れた心を救ってくれた、我が子の誕生【性被害に遭って10年ひきこもった私が娘と出会うまで⑭】 by たんこ

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通信制高校でクラスメイトと一言も喋れなかった私が、
妊婦健診という隠し事ひとつないフルオープンの世界(物理的な意味で)を何度も経験することで
だんだんと度胸がついてきたのです。

結局、友人と父を失った心のダメージと持病の膠原病の悪化により
専門学校は一年ほど休学することになってしまったのですが、
その決断後に判明した妊娠。
励まそうと遊びに誘ってくれる友人たちは、思っていたより私が元気なこと…
というか、一皮か二皮剥けた雰囲気の私に、驚くほどでした。

一方で、愛する夫を亡くした母にも、
娘の命は大きな影響を与えてくれました。

夫を失い、不仲だった舅姑と残されてしまい
悲しみに暮れ、苛立ち、いつ後追いしてもおかしくない雰囲気すらあった母が
幸せそうに赤ちゃん用品を購入している。
信じられない光景でした。

そして、夫となるエリンギも。
それなりに複雑な環境で生まれ育ち、投げやりな人生を送ってきたエリンギも
娘の命のおかげで大きく変わり
今では子どもなしの人生・生活を考えられないくらいの
立派なイクメンというか、第二の母になりました。

娘の命は、私だけでなく周囲の人すべてに、明るい光を与えてくれました。
『子どもは三歳までに一生分の親孝行をする』という有名な言葉がありますが、
新しい命は、生まれる前からとてつもない親孝行をしてくれていました。

そして、生まれてくれた娘。

お産がなかなか進まず、緊急帝王切開になったあの日。
今まで手術を経験してこなかった私が、お腹を切ることにまったく抵抗を感じなかったあの日。
『この子にさえ会えればなんでもいい!!』と、心から思えた日。

娘は幸いにも、元気に生まれてきてくれました。

奇跡的に授かり、奇跡的に無事に生まれてくれた娘の命は
今までのボロクソな人生のボロクソな部分を忘れさせてくれるほどに眩しいものでした。

幼い身体で経験した地獄の日々。なかなか抜け出すことが出来なかったひきこもり時代。
誰ともしゃべれなかった通信制高校。一歩踏み出したけど皆に追いつくのに必死だった専門学校。
そんな、ボロボロだった人生も
一歩でも違う道を歩んでいたら、ここにたどり着けなかったかもしれない。
そう思うと、ありがたい人生でした。

生まれてきてくれてありがとう。
娘に何度も声をかけました。
そして、『今まで諦めずに、生きていてくれてありがとう』と、
自分にも感謝することが出来ました。

性被害の心の傷は思ったよりも根深く、
今だって乗り越えきれたわけではありません。
今でも、夫が男性であることをふと思い出しては八つ当たりしてしまう時もありますし、
もし加害者が目の前に現れたら、ぶん殴るくらいはしてしまうと思います。

でも、心から言えます。
生きていれば、良いこともある。

私は特に運が良くて、ひたすら人に恵まれていた為に
娘に出会うことができただけかもしれません。
あの時、ネットで知り合った友人がひどい人であったら
取り返しのつかないくらいの人間不信になっていたと思ますし、
専門学校で隣の席になったのがクズ男だったら、
傷つけられるだけで終わっていたと思います。

頑張って生きていても、苦しみ続きかもしれません。
でも、生きていれば、生きている限り、可能性はある。
そう教えてくれたのが、娘の存在でした。

もし、性被害に遭ってしまって、人生に絶望してしまったら…
性被害だけではありません。いじめや、虐待、DV…
この世には信じられないくらいの地獄がたくさんあります。
でも、その地獄の先にも、生きていれば、生きていてよかったと思える日が来るのだと
私は信じています。
だから、どうか、諦めずに生きていて欲しいです。
そして、今、苦しみの最中にいる人に伝えたいです。
「がんばって、生きていてくれてありがとう」と。

ちなみに、娘の妊娠中に「女の子でよかった」と思っていた私ですが…
息子が生まれ、そんな思いはあっという間に消え去りました。

もちろん、息子がいずれ女性を傷つけてしまう立場になるかもしれない
という不安は、無いと言えば嘘になります。
ですが、息子も本当に可愛い。ほんッッッとうに可愛くて、びっくりするくらいでした。

女の子でも男の子でも、いつか誰かを傷つけてしまうかもしれない。
誰かに傷つけられてしまうかもしれない。
そんな不安や責任は、きっと親である私が死ぬまで付きまとうのかもしれませんが、
大切な大切な、愛おしい命であることは、娘も息子も変わりませんでした。

娘も、息子も、生まれてくれてありがとう。
私に関わってくれたすべての人、ありがとうございます。
あなた達は、私の人生を肯定してくれました。

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作者:⇒たんこさん
インスタグラム kei_mio

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