「忘れ物が多く集中力がないのは、想像力や創造力の才能の芽」〜叱らないで!その短所、お子さんの才能です。第3回 文:小鳥遊 樹(たかなし いつき)  イラスト:air(エア)

   

※こんにちは、小鳥遊 樹(タカナシ イツキ)です。
これはお母さん達の子育ての悩みを、
会話形式で説明・解決していく子育てコラムです。
文中のエピソードや登場人物は、
筆者の経験を元に個人情報がわからないように変えています。
あらかじめご承知ください。

 

【お母さまの子育てのお悩み】

?:「どうしてうちの子って、ボーッとして集中力がないのかしら?
すぐに別の世界に飛んじゃって、誰の話も聞いていないし。
物も無くすし、忘れ物ばかりして通知表にも書かれるし。
毎日、毎日叱りきれないんですけど…」

 

T:「待って待って、叱らないで!
その短所、お子さんの才能ですよ。」

 

?:「あらイツキちゃん。
うちの子の短所は才能じゃないわよ。
単純に気をつけることが出来ないだけなの。
注意力がないっていうのかな、ホントに天然なの。
気をつけて歩かないからすぐに怪我をするし。
あれこれこぼすし、服は汚すし。
学校のお手紙なんて届いたことがないの。
傘なんて何本買い直したことか。
ホントにため息ばかりよ。」

 

T:「いえいえ、そんなことはありません。
大切に育てると、想像力や創造力の才能になります。」

 

【一見すると短所に見える才能の芽】

?:「えー?そんな大層なものじゃないわよ。
夢みたいな話を作って、
人形やぬいぐるみとよく遊んでいるけど。」

 

T:「そうでしょう?
心の中は夢とイマジネーションでいっぱいなのです。
この才能のお子さんは、心の中で鳥にも花にも魔法使いにもなれるのです。
高い空を自由に飛べるし、深い海にも潜れるの。
素敵だと思いませんか?」

 

?:「そういえば独り言もよく言っているわ。
歌ったり踊ったり。
でもそんなの子どもだったら、誰でもそうじゃないの?」

 

T:「そんなことはありません。
そういうことが得意な子と、そうではない子がいます。」

 

?:「なるほど、
それで教科書やノートが落書きだらけになるのね。」

 

T:「そうなんです。
この短所を持つお子さんはクリエイティブな才能があって、
頭の中は次々に生み出されるイメージで忙しい
のです。
つまり想像力(イマジネーション)を創造力(クリエーション)に変えて、
外に出していく(アウトプット)という作業ですね。」

 

?:「そんなものかしら?
ヘンテコなラクガキばっかりだけど。
それに大人になってから想像力を仕事にするっていうのなら理解できるけど、
やらなきゃいけないこともできずにボーッとされても困るのよ。
くどくどと言い聞かせていても、
全然別のことを考えて聞いていない感じなのってそのせいなのね。
その態度がまた怒りの火に油を注ぐのよ。」

 

【才能の芽の伸ばし方】

◆伝えるときは30秒

T:「本人は悪気があってやっているのではありません。
このタイプのお子さんに長い時間お説教をしても意味はありません。
途中から別のこと頭の中で考えていますから。
本人がダメだからそうするのではなく、意識を別次元に持っていかれるのです。

 

お子さんに何か伝える時は30秒くらいにした方が良いですよ。
長くしゃべるほどうんざりされるだけで身に付かないです。」

 

?:「30秒?」

 

T:「はい、ホワイトボードに箇条書きにして3行程度。

1・学校のお手紙をすぐに見せてね。

2・洗濯するものはお風呂の時間までに洗濯機の前まで持ってきてね。

3・今夜はご飯の前に宿題を終わらせてみてね。

例えばこんな感じです。」

 

?:「すごい!それならできるようになるの?」

 

T:「いいえ、残念ながら出来るようにはならないです。」

 

?:「はぁ?どう言うこと?
できないって分かっていても言うの?」

 

T:「そうです。
例え出来なかったとしても、教えてあげることに意味があるんです。
こうすると便利だよ。
一人で生活できるようになるためには、こうすることが必要なんだよって。
簡単な言葉で優しく繰り返し伝えます。
そのうちに本人が、
“これは自分に必要!”と思ったことだけを身につけていきますから。」

 

?:「そうなのよ、言ったことが何一つできないの。
叱って今日は無理にやらせたとしても、明日はできないの。
気に入らないとブーブー文句を言うし。
大切なこともすぐに忘れちゃうのよ。
それで自分の好きなことばかりしているの。
だから腹が立って、だいたいあなたはね〜と始まっちゃうの。
私だって、できれば怒りたくないわ。」

 

T:「そうだと思います。」

 

?:「そうだと思うって、
イツキちゃんは人ごとだから気楽よね。
毎日怒る私の身にもなってちょうだい。」

 

 

◆才能の芽だと気付いた出来事

T:「人ごと?いえいえとんでもない。
私はこの悩みのど真ん中です。
私自身が今もってこの才能に溢れているからですね。

 

ところで私がこの短所が才能の芽だと思ったきっかけを、
聞いていただけますか?」

 

?:「いいけど、聞いても直らないんじゃ困るのよ。」

 

T:「私は工作や絵のお教室をしているのですが、
忘れ物が多い子がいるのです。
その子に悪気はなく、元気よく“〇〇を忘れました!”と報告をしてくれます。
どうして忘れてくる子はいつも忘れてくるのだろうと不思議に思っていました。
その子が人間的に劣っているとはどうしても思えなかったから。
むしろ素晴らしい創造力のある子ほど、忘れやすいのだと気が付いたのです。
いつでも頭の中で心を遊ばせて、楽しいことを考えている子ですね。

 

中学の講師をしていた時も、いつも忘れる子と忘れない子に分かれます。
先生の立場にあった時は、
忘れ物をする子や遅れてくる子、提出物が出せない子を叱りました。
私も子どもの頃にすごく怒られましたし、
そういうところだと思っていたからです。

 

ところがいざ自分が母親になって子どもを育てていると、
娘もとても天然でよく忘れ物をします。
こちらがやって欲しいとお願いすることもほぼできません。

 

難しいことではないんです。
洗面所で髪の毛をとかしたらあとを掃除しておいて。
週末には学校から給食のエプロンや靴を持って帰ってきて。
ペットの犬のフンやトイレシートは責任持って掃除をして。
そんな簡単なことですが出来ないのです。

 

何度言っても直らないので私も当然火のように怒ります。
でもやっぱり途中から聞いていないんですね。
それでお説教の時間が倍になります。
なんでできないの?どうして分からないの?
ちゃんと話を聞きなさいと責めました。
でもどんなに責められても、娘にそれを説明する事は出来なかったのです。

 

最初の教室の話に戻りますが、
子どもが何かを忘れてくると謝ってくれるお母さんがいました。
つまり子どものミスは、親である私のミスだという捉え方でした。
それが私にとっては目からウロコだったんです。

 

そうか、ホントに出来ないんだ。
どんなに叱ろうとルールを設けようとできないものは出来ない。
それを責めるのが親や教師の仕事ではなく、
足りなさをカバーするのが親の務めであると賢母に教えてもらったんですね。」

 

?:「カバーするのが親の務め。」

 

T:「そうなんです。
お子さんに“ごめんね、持ってくるね”と謝って取りに帰ってくれるのです。」

 

?:「すごい、出来たお母さん。
私はそんなこと無理だわ。」

 

◆叱らず、考えさせる

T:「ホントにね、素晴らしいなと思いました。
きっとご自身もそうやって育てられたんだろうなぁと羨ましくなりました。
それで最初は私も“前回の授業で言ったし、お手紙にも書いたでしょう?”と、
責め口調だったのを変えることにしたんです。」

 

?:「忘れ物をしたら、貸してあげることにしたの?」

 

T:「それも考えたのですが、
一生懸命準備をしてきてくれる子に不公平になってしまいます。
それで良しとしてしまうと、生徒さんのためにもなりません。
でも怒らないことにしたんです。」

 

?:「ふんふん、それで?」

 

T:「スイミングスクールに水着を忘れて行ったら、泳げないでしょう?
お絵かき教室で絵の具や筆がなかったら作品が描けないよね?
でも忘れてきた子に貸してあげたら、
ちゃんと準備してきてくれた子に失礼になるから貸さないでおくね、と。
あとは自分の頭で考えるんだよと言っています。」

 

?:「そうすると子どもは何て言うの?」

 

T:「そうすると“分かりました”と言って、
自分の頭を働かせるのですよ。どうしよう?って。
お友達に貸してとお願いする子もいれば、
制作自体を変える子もいます。
そこは、お子さんの選択を尊重するのです。
うちの教室の場合はすぐに“貸してあげようか?”と
互いに声を掛け合うので、そこを褒めるのです。
借りたお子さんには、
“この恩は忘れずに、大人になってからでも良いから返すんだよ。”と話します。」

 

?:「自分で考えさせることが大事と言うことですか?」

 

T:「そうなんです。
対処方法を考えられる人になって欲しいので。
お母様方にも家を出る前にアトリエに来て何をするか、
イメージをさせてあげて下さいとお願いしています。
そうすれば必要なものを思い出すので。
イメージトレーニングは大人になってからも役に立つでしょう?

 

繰り返しているとお子さんたちはいつか、
“今日はこれをやるつもりでこんな準備をしてきました”と報告してくれます。
すかさず、“すごい、自分で考えて準備ができたの?偉いね。”と褒めるのです。

 

?:「すごい!そうすると忘れ物をしない子が出来上がるんですね。」

 

T:「いいえ、そんな上手い具合にはいきません。
また、別のことでは忘れています。」

 

?:「はぁ?なんですか?
それじゃ、意味がないじゃないですか。」

 

T:「意味がないなんてことは全然ありません。
少しずつ自分が困らないように頭を働かせられたらそれで良いんです。
そのくらいこの才能って、自分を別の世界に飛ばす力が強いんです。

 

娘に関しても結局くどくど言うより、自分の判断でさせるようにしました。
子どもの判断で無理なところはこちらでフォローするけれど、
失敗も含めて自分の頭を働かせるようにお願いしました。
出来なかったことには目を瞑って、できることを褒めた方が親ごさんも楽です。
3年生の頃には、遠足の準備なども全部自分でやるようになっていましたね。
親が頼りにならないと思うと、子どもはしっかりしてきます。」

 

?:「一朝一夕には仕上がらないってことですね。」

 

T:「親の思い通りに、漏れがなくできる子にしないほうが良いと思います。
子どもはずっと緊張状態に置かれてしまいますから。
家は港なので、リラックスさせてあげてください。」

 

?:「でも、それだと困るのは本人なんですよ。」

 

T:「もちろん、困ることもたくさんあると思います。
でも、注意することが増えると比例して才能も減っていきます。
叱られてばかりいると自信をなくして萎縮するので、
全てを平均的にできなくていいんです。
むしろ、できないことを愛おしいと思ってあげてください。
だから才能の芽なんです。」

 

◆途中でやめても叱らない

?:「それにしたってツッコミどころが多すぎるんです。
素晴らしいクリエイターの才能があるのなら、
最初からとんでもなく上手な絵とか、
びっくりするようなものを作ってくれれば、
こっちだって天才だ!と認めるのに。
どうして、あんなトホホなことばっかりやっているのかしら?」

T:「それはですね、いろんな失敗が必要だからです。」

 

?:「失敗が必要?」

 

T:「クリエイティブなことって9割が失敗作品と思っても良いのです。
その中から納得の1割が生まれてくれば。
失敗を責めると9割に到達する前にやめてしまいます。」

 

?:「そう言えばうちの子もよく途中でほったらかしています。」

 

T:「途中で放り出すのを叱っちゃダメですよ。」

 

?:「最後まで投げ出さないことを教えるのって大切でしょう。」

 

T:「想像力や創造力に関しては、
試行錯誤の段階に途中でやめるのはありなのです。
材料を買って勢いよく制作を始めて見たけれど、
これじゃないなって思う感覚って大人にもあるでしょう?」

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?:「言われてみれば、そんなやりかけで押入れがいっぱいです。」

 

T:「後で引っ張り出して完成すれば、
そうすることが必要だったということになります。
もちろんそのまま放置で興味が次に移っていく場合だってあります。
それはそれでよしとしてあげて欲しいのです。
何でもかんでもきっちり仕上げてとすると、
子どもは失敗ができません。
いろんなことに臆病になります。」

 

?:「材料を買って渡した時点で、
それをどう使おうと親は文句を言わない方が良いってことですね。」

T:「素晴らしい!
そうなんです。気が済めば納得してしまうので。
勿体無いと思ったら、お母さんが続きを完成させても良いのです。

 

この才能を持つお子さんは極力叱らないであげてください。
なぜなら、想像力はご機嫌な時に生み出されていくからなんです。
ふんふんと鼻歌を歌って、調子に乗ってやっている時ですね。

いつの間にかストンとその世界に入って創造力を働かせる時、
つまり集中して描き作る時は、できるだけ静かに見守ってあげて下さい。」

 

◆優しく伝える

?:「イツキちゃんの言いたいことはわかる。
でもね、怒らないと宿題もやらなきゃいけないことも進まないのよ。
怒るしか手がないじゃない。
宿題しないまま学校に行ったら、先生にも怒られるでしょう?
それは本人が可哀想だと思うから一生懸命言うんじゃない。
そうじゃなかったら、私だって怒りたくないわ。」

 

T:「それはもちろんその通りです。
でも、叱らなくても良いんです。
優しく同じ調子で伝えるだけで。」

 

?:「何度も同じこと言わされたら腹がたつじゃない?
宿題やその日にやらなければいけない事が終わらなければ、
声を荒げて怒っても当然でしょう?」

 

T:「それがですね、怒るとどうなるかと言うと逆効果なのです。」

 

【注意すべきこと】

?:「逆ってどういうこと?余計にぼーっとした子になるってこと?」

 

T:「さすがですね、その通りです。」

 

?:「イツキちゃん、やめて。
褒められても嬉しくない。
これ以上ボーッとされたら、どうして良いか分からないわ。」

 

T:「悪気があってお母さんを困らせようとやっているわけじゃないんです。
本人の本質として心を別の世界に遊ばせているのに、
それを怒ったらどうなりますか?

悪気はないのに、なぜか怒られる。
お子さんは辛い気持ちになるでしょう?
そうすると楽しいことを考えたいと思うじゃないですか?
だから余計にそっちの世界に行っちゃうんです。
ムチを当てられたら動く動物状態になります。
自分の頭で考えて行動することをやめてしまうのです。」

 

?:「ああ、もうどうして良いか分からない。
なんかぐったりしてきた。」

 

T:「だから失敗は見て見ないフリをして、できることを褒めるのです。
失敗も見届けたよ、でもあえて言わないからね。
それよりもあなたには褒めるべき良いところがたくさんある。
そういう態度でいた方が、お子さんが精神的に安定します。」

 

?:「でも、やらなきゃいけないことも出来ないようだと将来が心配。」

 

T:「大丈夫なんです。
この才能を持つお子さんって自信さえ作ってあげれば、
自分の必要なことだけは聞く耳がある
んですよ。」

 

?:「そう言われてみるとそうだわ。
私もよくそう言って怒るのよ。
私の聞いて欲しい事は聞いていなしすぐに忘れるくせに、
自分の都合の良いことだけはちゃっかり聞いて覚えているんだから。と」

 

T:「そうなんです、ちゃんと聞けるんです。
ただし自分にとって都合のいい事じゃなくて、
お子さんの人生に必要な事ですね。
聞いていないのは、
お母さんや周りの大人がこうして欲しいと言う事です。
それほど、“自分のルールでこうやりたい”という強い質を持っているんです。
やらされること、やらなきゃいけないことにもの凄く抵抗を示します。」

 

?:「そういう事なのか…。なんかびっくり。
頼りなく思えても、必要以上に心配をするなということなのね。」

【才能の特徴と対処法】

T:「この才能のあるお子さんは、自分に必要なことがとてもよく分かるんです。
それ以外のことをする必要性をあまり感じないの。
だから、応援だけをしてあげればちゃんと自分の行きたい道に進んで行きます。」

 

?:「だったら、ずっとそのままってこと?」

 

◆言葉を引き出す

T:ダメだと思うことを無理やり直すのではなく、
才能の方を伸ばしてあげる
のです。
ダメな方を突くと、自信を失って良さも無くなります。
この才能を伸ばすためには、とにかくイメージを膨らめてあげることです。
怒りたい言動は見て見ないフリの方が上手くいきます。」

 

?:「イメージを膨らめるってどうやって?」

 

T:「お子さんの中から出てくる言葉を引き出してあげれば良いんです。
へー、次はどうなるの?そうなんだ、すごいねぇ。
あなたのお話は面白いよ、聞くのが楽しみ♡って。」

 

?:「そんな楽しみにできるようなものは作ってないんです。
お話だってめちゃくちゃだし。」

 

T:「それで良いんです。
最初から芸術作品を作る子なんていないでしょう?
早熟な天才もたまにはいますけど、そうではない人が大部分です。
才能として生かすか殺すかは、短所が出た時の接し方に関わってきます。」

 

?:「大人の目で見て感心するようなものじゃなくて良いってことですね。」

 

◆子供の作品そのままを認める

T:「良いことをおっしゃってくださいました。
その話はすごく重要です。
大人は、子どもの作品を稚拙だと思うでしょう。
だから、つい見栄えの良いものにしようとするのです。
もっと完成度を高くしようとするのです。
でもそれをしてしまうと、子どものイマジネーションが育たないのです。」

 

?:「どういうことですか?」

 

T:「未来を生きる子どもたちは、
自分に必要なものを持って生まれてきています。
だからおかしなことをやっているなと思っても、
放っておけば自分に必要なイメージを生み出すの。
だけど、そこに大人が手を加えてしまうと
見栄えは立派なものになったとしても…」

 

?:「大人のイメージの範疇を出ない想像力で、
止まってしまうということですね。」

 

T:「素晴らしい!おっしゃるとおりです。
これが正解ですと提示されてしまうと、
それ以上の探求や実験の機会を逸してしまいます。
私も相談されれば資料や材料の選択肢は提示しますが、
出来るだけ本人の実験に触らないようにしているのです。」

 

?:「その子にしか通れない道を創るってことですね。」

 

T:「大人には奇妙さやダメなことしか見えなかったりしますが、
お子さんがこれでよしとしている時は見守るので大丈夫です。
道は長いので。」

 

?:「子どもがより楽しむ実験をさせてあげたいと思ったら、
どんな環境を準備してあげれば良いですか?」

<h2【発散方法】

T:「良いことおっしゃいますね、素敵です。
このエネルギーの発散方法としては、例えば絵本作りです。
お母さんとリレー形式で
交換日記みたいにお話の続きを作っていくとかも面白いです。」

 

?:「子どもが飽きたらお話が途中でもやめて良いんでしたね。」

 

T:「さすがです!
そうなの、全てはお砂場遊びの感覚です。
いつ始めていつやめてもお互いの自由。
どこからトンネルを掘っても良いし、山を作っても良い。
飽きたら蹴散らして潰してしまうのも自由。
そんな感覚で、楽しいところで止めてあげてください。
そういうルールで好きなだけ
お絵描きや工作や粘土をやらせてあげて欲しいの。
完成度は求めない。
ただ遊びとしてああ楽しかった!を感じることが大切です。」

 

?:「さすが!って、嬉しい言葉ですね。
他にもありますか?」

 

T:「私のお教室だと、
このタイプの才能を持つお子さんは絵の具が混ざるのを見るのとか大好きです。
だから、多めに絵の具を出しても怒ったりしません。
筆を洗いながら水道で混ざり合わせて流すと面白いよ。と伝えます。
夢中になって見ていますね。
だから、絵画ならにじませて作る絵とか、ストローで拭くのも好きですよ。
偶然できた色や形にとても惹かれるようです。」

 

?:「感覚的なんですね。」

 

T:「光や色、風とか美しい自然の風景からも大いに影響を受けると思います。
春なら桜並木とか、夏ならひまわり畑、秋の紅葉に冬の樹氷。
感動的な色や形をたくさん見せてあげてください。」

 

【お母さま達へのエール】

T:「この才能を持つお子さんのお母さまは、
日々の生活をフォローしてあげることがたくさんあるので本当に大変です。
ものを生み出していく才能なので、どんどん前進します。
後ろを振り返り検証するとか、
やり散らかしたあとを、丁寧に始末をつけるのは苦手です。
楽しいことばかり考えているので、それを遮られるのが苦痛です。
強制的にやらされることに大変な抵抗を示します。

 

けれど、このイメージを形にする才能を育てると、
今までこの世の中になかったものを生み出す力を発揮します。
具体的に職業にするとクリエイターです。
だから、是非楽しんでこの才能を育てる子育てをしてみて下さい。」

 

?:「確認だけど、ぼーっとしていても放っておいて、
散らかした後を片付けてあげれば素晴らしいクリエイターになるのよね?」

 

T:「いえいえ、それはただの放任です。
そもそもクリエイターになるかもわかりません。」

 

?:「イツキちゃん、今までと言っていることが違う。
この才能は想像力と創造力の才能だからって言ったでしょう?」

 

T:「子どもの才能って、ひとつじゃないのです。
年齢や状況に合わせて、いろんな才能の芽が出ます。
どれとどれを組み合わせてどんな自分になっていくかは、
お子さんご本人の選択に委ねられるのです。

 

親の仕事は、世の中に出ていける力をつけてあげることです。
生活の知識も、一緒に楽しんで経験を積み重ねてください。
この子はこの才能が突出しているからこれを伸ばしてあげれば良いという、
大人の思い込みは危険なのです。
別の目標に向かう前の寄り道や、必要なスキルの獲得の場合もあるので。」

 

?:「そうか、その才能の芽が出ていても、
その職業を目指すかは分からないってことなのね。」

 

T:「そうです。
例えば美容師さんやパティシエになる人が、
デザイン画の力が必要で出している芽かもしれません。
それを“この子は、将来は絵描きになるのね”と思い込んで、
美大に入れてしまったら本人は違和感しかありません。
本人の直感に従って生きてこそ、いろんな失敗がトータルで生きてくるのです。」

 

?:「なるほど!よく分かりました。
今まで叱ってごめんね。と、子どもに謝ります。
イツキちゃんありがとう!」

 

T:「こちらこそ!
話を聞いて下さってありがとうございます。
お子さんが心身ともにそばにいてくれるのは、
高学年になるまでの10年くらいであっという間です。
限られた時間を楽しくご一緒に過ごして下さいね^^。」

〜叱らないで!その短所、お子さんの才能です〜

第3回「忘れ物が多く集中力がないのは、
想像力や創造力の才能の芽」を、
最後までお読み頂き、ありがとうございます!

 

T:「ボーッとして忘れ物をし、すぐに自分の世界に入ってしまうお子さんを、
集中力や理解力のある子になるようにと、今まで一生懸命に叱ってきたお母様。
もどかしく感じて呆れても待つのが辛くても、
叱らない方が良い訳をお分かり頂けたでしょうか?

 

このコラムでは叱らなければいけないと思っている短所の多くが、
どんな才能に成長するかをお話しさせていただきます。
次回はウソをついたり話が止まらなかったりするお子さんの才能です。

 

ついついイラついたりムカついたりして怒ってしまうような、
お子さんの問題行動や直らない癖。
そんな短所に困っているお母様は、
「これってどんな才能なの?」と、質問してくださると嬉しいです。
出来るだけ状況を詳しくお書きくださいね。

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作者:小鳥遊樹さん

 

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本記事は個人的体験談などに基づいて作成されており、脚色なども加えられている場合もあり、必ずしも各読者の状況にあてはまるとは限りません。この記事の情報を用いて行動される場合、ご自身の責任と判断により対応いただけますようお願い致します。尚、記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。
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