第5回「優柔不断でへこみやすいのは、公平と平和の才能の芽」 〜叱らないで!その短所、お子さんの才能です。〜 文:小鳥遊 樹(たかなし いつき)  イラスト:air,(エア)

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※こんにちは、小鳥遊 樹(タカナシ イツキ)です。
子どもの造形絵画教室を主宰して24年目になります。
これはお母さん達の子育ての悩みを、
会話形式で説明・解決していく子育てコラムです。

文中のエピソードや登場人物は、
筆者の経験を元に、個人情報がわからないように変えています。
あらかじめご承知ください。

 

【お母さまの悩み】

?:「どうしてうちの子って優柔不断なのかしら?
早く決めなさいって言っても、ちっとも決められないの。
そんなに難しいことを聞いているわけじゃないのよ。

例えばTシャツを買うときに、
デザインはこっちとあっちならどっちが良い?なんて簡単なことなの。
でもずっと黙り込んじゃって。

最初は穏やかに待っているんだけど、
そのうちにイライラしてくるじゃない。
早くしなさい!と、つい大きな声を出しちゃう。
もう毎日、毎日叱りきれないんですけど…」

 

T:「待って待って、叱らないで!
その短所、お子さんの才能ですよ。」

 

?:「あらイツキちゃん。
うちの子の優柔不断は才能じゃないわよ。
決断力がないのね、誰に似たんだか?」

 

T:「いえいえ、そんなことはありません。
大切に育てると公平さや平和の才能になります。」

 

?:「友達と遊んでいるときも確かに優しい。
でも自己主張がないの。
これで遊ぼうって言われれば、それ。
別のお友達に、これにしようって言われればそれ。
結局、なんでも良いってことでしょう?」

 

T:「自分の決めたことが良いって、
みんなが自己主張して譲らないと、まとまらないですよね?
そういう意味では、平和の才能を持っているんですよ。」

 

?:「もっとハキハキ、ピリッとしていて欲しいの。
これが好き!とか、嫌なものはイヤって。
私が白黒はっきりつけたい人だから。」

 

T:「口に出して現在の心境はこうです。と、
説明してくれれば分かりやすいですよね。
でも、本人にもよく分からない場合が多いんです。
自分がどうして決められないのか。

 

 

?:「何を考えているのか分からないから、またイライラするの。」

 

T:「時間でいろんなことを片付けなくてはいけない毎日は、
待ってあげられないことも多いです。
つい“早くしなさい、どうしてそんなに時間がかかるの?”と、
叱ってしまいがちです。」

 

?:「まさしくその通り。
一つずつ決めるのに、どうしてあんなに時間がかかるの?」

 

T:「資質ですから、本人にも説明ができないのです。
焦って動かそうとすると、
余計にフリーズするパソコンみたいな感じです。」

 

?:「パソコンだなんて。
単純にぐずぐずしているだけなのよ。」

 

T:「無意識に様々なバランスを取ろうとするので、
言葉や行動で表現するのが遅くなるの。
そこに早くしなさいと畳み掛けられると、
頭の中で処理ができなくなります。」

 

?:「うちの子どものペースで待っていたら、
日が暮れて、朝が来てもやることが出来ていないわよ。」

 

T:「いろんな人の心や、
全体を見ていく能力は、育てるのに時間がかかります。
急かすことによって、
ただの優柔不断に育ててしまったら勿体無いと思いませんか?」

 

?:「だったら、解決策を教えてもらえない?」

 

【才能の芽だと気付いたきっかけ】

T:「アトリエにも、どちらにも決められないお子さんは昔からいたのです。
私は一人ひとりに、これはどうしたい?次はこの中から何をやりたい?
お休みは何をしていたの?と、いろんな話を振ります。

そんな中で、質問をしても答えるのにすごく時間のかかる子がいました。
時間をかけても結局どっちにも決められないということも何回もあり、
これってどうしてなのだろうと不思議に思いました。

やりたいことがない子ではないし、
自分の作品に関しては、
ちゃんと自分の頭で考えることができる子だったから。」

 

?:「そうそう、それがうちの子。
待っているのってホントイライラするわよね。」

 

T:「でも夫と暮らすようになってから、
世の中にはホントにどっちでも良い人がいるんだ。ということを理解したの。」

 

?:「ホントにどっちでも良いって人どういうこと?」

 

T:「私はお見合いで結婚したので、
一緒に暮らすようになるまでほとんど外食に行ったことがなかったのね。
週末になると何が食べたい?と、聞くわけですよ。
でも、夫からの返事はないの。
すごく一生懸命考えてくれるのだけど、結局食べたいものはないんです。」

 

?:「それは、張り合いがないわね。」

 

T:「はい、私も最初はびっくりしました。
食べたいものがない人ってこの世にいるんだと。
でも裏返せば、
私がなんでも好きなものに決めて良いってことでしょう?
それは嬉しいじゃないですか。」

 

?:「確かに、争いが起こりません。」

 

T:「長期の休みがあると聞くわけです。
今度のお休みは、どこに遊びに行こうか?と」

 

?:「どんなに返事を待っても決められないのね。」

 

T:「私は子どもを連れて、
テーマパークや遊園地や動物園にお出かけがしたかったんです。
でも彼に行きたいところはなかったの。」

 

?:「彼が本当に行きたいところはどこだったの?」

 

T:「気分転換に近所を散歩すれば十分だと言うのです。
言っても近くの川とか湖でした。」

 

?:「よく今まで何十年も夫婦ができたわね。」

 

T:「もしも、私の食べたいものや行きたいところを止められていたら、
ダメだったと思います。

でも夫はこう言うの。
“私はそういうことが好きではないから行かないけれど、
好きな人と好きなところに行って楽しんできて下さい。”と。」

 

?:「それぞれ別に。ってこと?」

 

T:「好きなものを食べたり買ったり、
好きなところに行くことを咎められたことは、
26年間一度もありません。
それで私も彼のこだわりを大切にすることにしました。」

 

?:「旦那さんのこだわりって?」

 

T:「静かに本が読めて、勉強ができる環境です。
日々の身だしなみとか、掃除とか整理とか。
そういう時間を奪わないようにしたの。」

 

?:「自分のこだわりたいことだけにこだわれば、
あとはどっちでも良いって平和なのね。」

 

T:「グレーゾーンが多ければ多いほど
思うようにならないストレスは減るじゃないですか。」

 

?:「だから、生徒さんが決められなくてもイライラしないんだ。」

 

T:「決められないことを決めなさいって叱ると、お互いにストレスになります。
でもホントにどっちでも良いんだね。と思っていると、
こだわりたいことだけは、後になっても伝えてくれますから。

考えていないわけではないけれど、
ここで自分の主張をするのはちょっと違う。という感覚ですかね。

お子さんの優柔不断という状態は、一見すると短所に見えます。
けれど、実は公平さや平和の才能になるということをご理解頂きたいのです。

 

【才能の特徴と対処法】

◆この才能の特徴(短所として現れる)

 ・優柔不断

・こだわりのない事は、どっちかに決められない

・決める時でも時間がかかる

・自分の主張を通そうとしない

・もじもじしている

・本当にどっちでも良いと思っている

・決断を迫られる程、余計に答えられない

・落ち込むと復活しにくい

・なかなか物事が前に進まない

・メソメソする

 

◆短所に見える状況の対処法

 ?:「困った時には、具体的にはどうすればいいの?」

 

T:「ダメだと思う性格に注目するのではなく、
伸ばせることを褒めます。
あなたは優しいね、人の立場に立って考えられるのね。
あなたと一緒にいると否定されないから、
みんな幸せな気持ちになるねって。」

 

?:「自分のこともしっかり判断できれば、
なお良いんだけどねと、
一言余計なツッコミを入れてしまいそうです。
そうではなく自信を持たせろということですね。」

 

T:「おっしゃる通りです。
ポイントとしては優柔不断さを、
“いつまでも決められなくていい子ねー”と、褒めるのではないですよ。

“どうして、そんなに悩んじゃうのか不思議だね。
でも決められないことは、
他の人の意見を大切にできる才能になるんだって。
だからとても素敵なことなんだよ。”と、褒めてあげて下さい。」

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?:「私の根気を試されているような気がしてきました。
問題は子どもではないということなのですね。」

 

T:「子どもには悪気のかけらもありませんから。
単純に資質の問題なのです。

ああいう意見もあるけれど、こういう意見もある。
どちらも正しいと思う。
そう考える力が強いだけです。

だから品物を選ぶときにも、
どちらの良さも感じるから、どちらでも良いのです。
どっちかが本当に嫌ならば、その時は言うはずですから。
いろんな意味でストライクゾーンが広いのでしょうね。

傷つけられても、自分は悪くないとは思いきれない。
あれが良くなかったのかな?
こうしたら良かったのかな?自分の責任かな?と、悩みがちです。」

 

?:「決められなくても、良いところだけを褒めて、
あとは放っておけば良いの?」

 

T:「決められないことを責める必要はありません。
でも自分の意見を持つために頭を使い、
知識を吸収する方法を教えるのは必要だと思います。

“お友達もやりたいことを我慢して、
あなたが答えるのを待っていてくれたんだから感謝だね。とか、
他の人から見た視点を教えるのも親の仕事ですよね。」

 

?:「叱ると余計に混乱して、どっちにもきめられなくなる。
優柔不断度が増すってことですよね。

そこを突かずに、周りの目にも気がつくように、
優しく教えてあげるのですね。」

 

T:「お母さんがイライラしているのって、
ものすごく子どもには伝わります。
それをどちらかに決めなさいと急かされると頭が混乱するわけです。

困った、どうしよう?と、思えば思うほど、
どうして良いか分からなくなります。
結果、自分に自信の持てない人間になります。」

 

?:「落ち込みやすいのならなおのこと、
ストレスを発散できるように心がけてあげたいと思います。
どんな発散方法がありますか。」

 

◆エネルギーの発散方法

 T:「平和と優しさがテーマなので、
自然の中で発散できるようなことを考えてみてください。
林間学校で昆虫採集とかアスレチック、
木工教室で家具を作るというのも自信になります。

ハイキングとか単純に野原や森林を散歩するのでもいいのです。
家のお手伝いを兼ねるなら野菜の収穫や草取りでしょうか。
庭木のお世話も良いですね。

木の実や枝、枯葉などで工作やアクセサリーを作る。
カエルやカメとも仲良しになれます。
森林浴、牧場に動物に会いに行くのもホッとすると思います。

木彫りとか木版のように木に向き合うのも良いですね。
苔を育てるとか観葉植物とも相性が良いはずです。」

 

?:「なるほど、優しい彼が好きそうなものばかりです。」

 

◆アトリエの授業では

 T:「アトリエでは、
みんなで木工教室に参加させて頂くとか、
ツリーハウスがあるレストランに遊びにいったりします。

花かんむりを作ったり、
みんなでイモ虫を観察したりするもの面白いの。
糸鋸を使ったり、金槌やヤスリを使ったりします。」

 

?:「勝ち負けがあるものじゃなくて、自然の中で、
いろいろ楽しめるものを探せば良いのですね。」

 

T:「はい。
優しさを感じて楽しい時間です。」

 

?:「こんな素敵な才能なのに、
どうして最初から優しさとか公平さが強調されないんですか?
ちっとも決められないと、親だって責めたくもなるでしょう?」

 

T:「いろんな価値観を感じ、
学びを繰り返す時期なのでしょうね。
最初から、自分が正しいと思っている人には、
多様性を理解するのは難しいから。」

 

?:「自分がそうであることによって、
人の価値観も学ぶということですか。」

 

T:「私はそんな風に感じています。」

 

◆将来に活かせる道

?:「この才能を育てて行くとどんな職業に結びつくのでしょうか?」

 

T:「林業とかエコロジスト、ネイチャーガイドも良いですね。
グリーンコーディネーター、ガーデナーとか。」

 

?:「植物ばっかりですね。」

 

T:「人と協力する仕事も良いと思います。
上下関係がなくて力を合わせて長い間取り組んで行くような。
国際貢献とか、平和を維持するお仕事、環境保全とかも。」

 

?:「ああ、優しくて公平さが求められて
どっちでも良いよの幅が広いお仕事なんですね。」

 

T:「優しくて公平という意味では、
人をお世話する仕事も良いと思います。
福祉や看護や介護職、インストラクターのような。
どんなに間違えても失敗しても優しく教えてくれます。」

 

?:「福祉や看護や介護で、
こうじゃなきゃいけないし許せない。という性格は辛そうです。」

 

T:「一人でするならば農業とか仏師、昆虫や魚を育てるお仕事も良いです。
盆栽職人、樹木医、牧場で働くなどもありますね。」

 

?:「イライラして追い立てずに、
彼の良さである優しさや公平さを伸ばして、
気長に育ててみようと思います。」

【お母さま達へのエール】

 T:「この才能を持つお子さんのお母さまは、
なかなか決めることができないお子さんを、
優しく待ってあげるのが大変です。

けれど、じっくり待ってあげて優しく育てると
公平さや友愛の才能になります。
だから、是非この才能を育てる子育てを
楽しんでしてみて下さい。」

 

?:「なるほど!よく分かりました。
今まで叱ってごめんね。と、子どもに謝ります。
イツキちゃんありがとう!」

 

T:「こちらこそ!
話を聞いて下さってありがとうございます。
お子さんが心身ともにそばにいてくれるのは、
高学年になるまでの10年くらいであっという間です。
限られた時間を楽しくご一緒に過ごして下さいね^^。」

 

叱らないで!その短所、お子さんの才能です〜
第5回「優柔不断でへこみやすいのは、
公平と平和の才能の芽」を、

最後までお読み頂き、ありがとうございます!

 

つい急かしたくなるくらい決められないとか、
落ち込むとなかなか戻ってこられないお子さん。
判断力があって立ち直りが早くなるようにと、
今まで一生懸命に叱ってきたお母様。

早く決めなさいとイライラしても、
叱らない方が良い訳をお分かり頂けたでしょうか?

 

このコラムでは叱らなければいけないと思っている短所の多くが、
どんな才能に成長するかをお話しさせていただきます。

次回は怖がりで泣き虫なお子さんの才能です。

ついついイラついたりムカついたりして怒ってしまうような、
お子さんの問題行動や直らない癖。

そんな短所に困っているお母様は、
「これってどんな才能なの?」と、質問してくださると嬉しいです。
出来るだけ状況を詳しくお書きくださいね。

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