第6回「ビビリで泣き虫なのは、冒険と勇気の才能の芽」 〜叱らないで!その短所、お子さんの才能です〜 文:小鳥遊 樹(たかなし いつき)イラスト:air,(エア)

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第6回「ビビリで泣き虫なのは、冒険と勇気の才能の芽」
〜叱らないで!その短所、お子さんの才能です〜

文:小鳥遊 樹(たかなし いつき) 

イラスト:air,(エア)

 

※こんにちは、小鳥遊 樹(タカナシ イツキ)です。
子どもの造形絵画教室を主宰して24年目になります。
これはお母さん達の子育ての悩みを、
会話形式で説明・解決していく子育てコラムです。
文中のエピソードや登場人物は、
筆者の経験を元に、個人情報がわからないように変えてあります。
あらかじめご了承ください。

【お母さまの悩み】

?:「どうしてうちの子って臆病で怖がりなのかしら?
“いいからやりなさい”ということもできないし、
“大丈夫だから行きなさい”って言ってもダメだし。

 

ちょっとした物音や、いきなり出てくるものにもすごく驚くのよ。
お化け屋敷なんて絶対ダメ。
夜のトイレも一人じゃいけないの。
私の後ろに隠れて怖がってばかり。
もう毎日、毎日叱りきれないんですけど…」

 

T「待って待って、叱らないで!
その短所、お子さんの才能ですよ。」

 

?:「あらイツキちゃん。
うちの子の臆病は才能じゃないわよ。
単純にビビリなだけなの。
どうしてあんなに意気地が無いのか不思議。」

 

T「いえいえ、そんなことはありません。
大切に育てると勇気や冒険の才能になります。」

 

?:「今の私の話を聞いていた?
うちの子よりずっと小さい子が、平気でできる様なこともできないのよ。

 

さっさとやりなさいと言うと、下を向いて黙り込むか、不機嫌に泣き出すの。
勇気や冒険だなんて真逆だわ。」

 

T「意気地なしになるのってどうして必要なんでしょうね?」

 

?:「瞬時にいろんな可能性を考えているってことでしょう?
怪我とか、どのくらい自分にとって危険かとか?」

 

T「素晴らしく用心深い、
いい資質を持ったお子さんだと思いませんか?」

 

?:「私は、飛び込み台から飛び込め、
なんて話をしているわけじゃないの。
お友達がジャンプして遊んでいる縁石よ。
目をつぶって飛んだって怪我なんてしないわよ。

 

従兄弟たちとプールに遊びに行った時だって、
一人だけ怖がって水に入れないの。
ちゃんと浮き輪をつけているのに、大げさに嫌がって泣くのよ。」

 

T「怒られても、説明の仕様がないんですよね。
具体的な危険を察知しているわけではないのです。
あくまで勘みたいなもので、なんとなく怖い。
どうしてか分からないけれどやりたくない。」

 

 

 

?:「私たちにとってはひとまたぎでも、
すごく高いところに思えちゃうのね。
水たまりが大海原に見える、みたいな感じかしら?」

 

T「そのくらいの予測をする力があるのです。
藪から蛇だって出てくるかもしれないと思う事が、
その子にとっては大切で必要
なの。」

 

?:「だから大人だったらバカにするようなことでも、
いちいち引っかかって騒ぐのね。」

 

T「大人は、こうでこうだから大丈夫。
そんなふうに経験からなんとなく分かりますよね。

 

けれどその才能の芽を持つ子どもは、
自分の感覚でひとつひとつ石橋の感触を確かめる必要があるのです。
どの位硬いのか、どの位丈夫なのか、どこが危険なのか。」

 

?:「大人が大丈夫と言ってあげることには意味がないの?」

 

T「参考にはなります。
でも、もともと人間が違いますから感じ方も違うでしょう?
これからしていく経験も違います。
だから自分で確かめる必要があるのです。
水たまりから人食いザメが出てきたら困るじゃないですか?」

 

?:「出てこないから!^^;
なんとかならないのかしら、この短所。」

 

【才能の芽だと気付いたきっかけ】

T「アトリエにくるお子さんにも怖がりのお子さんがいました。
怖がるものは人によって違います。
刃物が怖い子がいれば、
うちで飼っているペットのチワワが怖い子もいます。

 

ハサミやカッターを怖がる子はどうしてだろう?
犬を抱っこ出来る子と、できない子は何が違うんだろう?と、
いつも疑問に感じていました。

 

アトリエのトイレには、
いろんな画家の人物画が貼ってあるので、
それもとても怖がるのです。

 

どうしてドアを開けたまま用をたすのか、
不思議に思っていました。
怖かったんですね。
もちろん怖がらない子もたくさんいます。

 

ゲーム大会をしよう!と提案すると、
ゲームに挑戦するのを引いてしまう子もいました。
どういう勝ち方ができるのか、
分かってからでなければ手を出さないのです。
熱いものや火が嫌いな子もいました。

 

初めてのものでも思い切って、
むしろ好奇心いっぱいに挑戦する子もいるのに、
妙に慎重で手を出してこない子たちがいます。

 

そういう子は最後までじっと様子を見てからやるとか、
見ていても挑戦しない子もいました。
私はどうしてなんだろうと、ずっと不思議に思っていました。」

 

?:「なるほど、ひとつひとつそうやって
何故なのかな?と受け止める
のですね。」

 

T「みんなと同じことをしなさいとは、
決して言わなかったのです。

 

きっと何か理由があるんだろうなと思って。」

 

?:「ひとつずつそうやって見守れば、
怒る必要なんて無くなりますね。」

 

T「一見ネガティブに見えるようなことでも、
必ず理由があって、
それに気がつくと、才能探しがとても面白いのです。」

 

?:「それで怖がりで意気地の無い子たちは、
どんな風に勇気や冒険の才能に結びつくの?」

 

T「例えばですね、
ゲームを一緒にやりたくないという子が大きくなるでしょう。
あなたはやらなくて良いのね、オッケー♪と言っていると、
いつの間にか、すごく上手になっているの。

 

向こう見ずに飛び込んで負けたりしないのね。
ずっと見ていて、自分なりのやり方を研究しているわけです。」

 

?:「すべてを把握してから動くってことですか。」

 

T「状況を自分が把握して、
コントロールできる確信がついてからトライするの。
先を見越す力の強い、とても計画的で慎重な子たちなんです。

 

すごくボードゲームが上手になっていて、
とても敵わなくて、“参りました!”という時は嬉しいですね。
お子さんの成長をすごく感じる瞬間です。

 

カルタや百人一首なんかでも同じことがあります。
家で猛練習してきて、自信がつくと参加をするのです。

 

アトリエでは鉛筆をカッターで削ったり、
火傷の危険がある様なホットボンドを使ったりすることもあるのですが、
危険のあるものは、まずじっくり見ています。
こうすれば安全と納得するまで手を出さないですね。」

 

?:「自分の中にプロセスを入れるのが重要なんですね。
どうしてそんなに慎重さが必要なの?」

 

T「大きくなって、危ないことをする可能性がないとすれば、
慎重さってそんなに必要ないでしょう?

 

子ども達は感覚的に自分の未来に必要なことを習得してるんだな、
と思う事がよくあります。」

 

?:「なんだか分からないけれど、
一見短所で現れることは、子どもの将来にとって結構重要ってことですね。
気の済むまで石橋を叩かせてあげたらいいのね。」

 

T「やらないこととか、やれない事は不思議だね。
でも、それはあなたに必要な事なのだから心配しなくて良いよと、
言ってあげて欲しいのです。

 

お子さんの臆病や意気地なしは、一見すると短所に見えます。
けれど、実は冒険や勇気の才能になるということをご理解頂きたいのです。

【才能の特徴と対処法】

この才能の特徴(短所として現れる)

・怖がり

・臆病

・意気地無し

・泣いて拒否する

・一緒にやらない

・挑戦しない

・石橋を叩いても渡らない

・頑なにいうことを聞かない

・特定のものを嫌がる

・見えないものも怖がる

 

短所に見える状況の対処法

T「臆病を、怖がり!臆病!と言って叱るとどうなると思いますか?」

 

?:「余計に勇気が育たないってことでしょう。」

 

T「刷り込まれるように、自分は臆病なのだと思い込みます。」

 

?:「もっと大胆に、大らかでのびのびとして欲しいだけなのよ。
だから余計に焦ってしまって。
この才能を伸ばしてあげるにはどうしたらいいのですか?」

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T「そうですね、まず“うちの怖がり”とか、
“ビビリ”という言葉は控えて下さい。
本人がいない場所でも伝わります。

 

それから無理に何かをさせようとしないでください。
挑戦させられると思うと余計に逃げちゃいますから。
自分が納得したタイミングで挑戦するのが嬉しい子なのです。」

 

?:「それって、お友達が当たり前に出来るようなことでもですか?」

 

T「そうです。
ひとりだけプールにはいれないとか、
絶対に安全な場所からも飛び降りられないとか、一個ずつ指摘しないこと。
意識させないのが大切なのです。

 

“むしろ素晴らしい才能に、
変化する可能性を秘めているんだよ。”と教えてあげて欲しいのです。」

 

?:「イツキちゃんは最初に勇気や冒険の才能だと言ったでしょう?
初めから勇敢だったら、私もいちいちイライラしなくて済むのよ。」

 

T「普通に家の周辺だけで育ち
仕事をしながら生活するだけならば、
そんなに多くの経験値を必要としません。
なぜなら親のやっていることを見ていれば、
生活の中にどういった危険があるのか、なんとなくわかるからです。」

 

?:「ああ、それは確かにそうね。」

 

T「実験をちゃんと積み重ねさせてあげないと、
余計に臆病になるのもそうなんですが、
大人になってからの慎重さが身につかないまま
冒険に出ちゃうので、無謀になるの。

 

どうして軽装で山に登って遭難したり、
川の水量が急激に増えることや、
波の強さや水深が理解できずに水難事故があるかといえば、
実験や経験不足なのです。」

 

?:「それは、困りますね。」

 

T「はい、命に関わることなので、
本人の気がすむまでじっくり時間をかけて、
訳のわからない臆病に付き合ってあげて欲しいのです。
あなたの慎重さは素晴らしいねと。」

 

?:「異常に怖がるのは心配だけど、
騒がず、叱らず、否定しない。ということだけ覚えておけばいいのね。
どうやれば、短所に見えることのストレスを発散できますか?」

 

エネルギーの発散方法

T「国内外問わず、旅行はいいと思います。
現実で難しければ、グーグルマップとかで夢を膨らませるのもOKです。
鳥を飼うとかランニングに行くとかサイクリングやバイク。
ボートや競艇、ハイキングや登山、
オリンピック種目になって注目されているサーフィンもおすすめです。
風に乗って疾走するイメージです。

 

風や鳥とお友達なのでバードウオッチングもいいですね。
旅という意味では鉄道や写真も趣味になると思います。」

 

?:「何ともロマンを追い求める才能ですね。」

 

アトリエの授業では

T「アトリエではこの才能を伸ばすのに、
地図と歌で都道府県名の暗記をします。
地球儀を使って世界の説明もしますし、
国旗カードや世界地図でも遊びます。

 

世界遺産カルタなんて子ども達は大好きですよ。
あとは毎月のように遠足にでかけます。
時間や場所、季節や笑顔を共有した仲間って、
すごくいい思い出になります。

 

遊びながら楽しい思い出が積み重なればいいんです。
自身と勇気さえ育てば、
道無き道を一人で歩いて創って行きますから。」

 

?:「いろいろ家でもできそうな事がありました。
早速試してみたいと思います。」

 

T「力を蓄えるまでは地面にうずくまっていて、
ひとたび舞い上がればどこまでも高く飛ぶ鳥。

 

そんな格言が菜根譚にありますが、
まさしくそういったイメージです。
だから、一緒にいる時間を大切にして欲しいのです。」

 

?:「素敵です。
でも、飛ぶ自信が育たなかったら、
ずっとうずくまったままなのですね。」

 

T「心の中では、もやもやしたイメージがあるのに、
勇気を持てなかったばっかりに、
飛び立てないのでは悲しいですよね。」

 

?:「行ってくるね。と、
巣立っていけるような、
子育てをしたいと思います。」

 

◆将来に活かせる道

?:「この才能を育てて行くと、どんな職業に結びつくのでしょうか?」

 

T「冒険家、登山家、海洋写真家、
スキューバダイビングのインストラクター、潜水士なんかですね。
水族館の飼育員さんとかも合うと思います。」

 

?:「確かに慎重さが必要で、危険が伴うものが多いですね。」

 

T「パイロット、運転手、船舶関係、旅客車、気象予報士さんとか。」

 

?:「なるほど、夢を運んで旅をする感じです。」

 

T「人を助けたり、危険を教えたりといったお仕事にも向くでしょうね。
海難救助、山岳救助、トラベルライター、ツアーコンダクター。」

 

?:「危ないところを熟知したり、
人に危険を教える能力がなかったら、できない仕事ばかりです。」

 

T「ツアープランナー、テラリウムづくり、アクアリウムづくりなども良いと思います。
小鳥の飼育員さんとか海女さんとか。」

 

?:「本当にロマンティックな才能なのですね。」

 

T「仕事というのとは、また違うかも知れませんが、
トライアスロンに挑戦したり、世界遺産巡りをしたりも良いですね。」

 

?:「南国の海にも憧れるような感じがありますね。」

 

T「ホエールウオッチングや、
イルカやウミガメを探したりも楽しめると思います。」

 

?:「なるほど、だからこその危険察知能力なのですね。」

 

T「大切に育ててあげてください。」

【お母さま達へのエール】

T「この才能を持つお子さんのお母さまは、
一つひとつ怖がっていて、
なかなか1歩をふみだそうとしないお子さんをはげますので大変です。

 

けれど、根気よく慎重さを育てると、
勇気や冒険の才能になります。
だから、是非この才能を育てる子育てを
楽しんでしてみて下さい。」

 

?:「なるほど!よく分かりました。
今まで叱ってごめんね。と、子どもに謝ります。
イツキちゃんありがとう!」

 

T「こちらこそ!
話を聞いて下さってありがとうございます。
お子さんが心身ともにそばにいてくれるのは、
高学年になるまでの10年くらいであっという間です。
限られた時間を楽しく、ご一緒に過ごして下さいね^^。」

 

 

〜叱らないで!その短所、お子さんの才能です〜

第6回「ビビリで泣き虫なのは、
冒険と勇気の才能の芽」を、
最後までお読み頂き、ありがとうございます!

 

初めてやることには異常なまでの抵抗を示す、
怖がりですぐにメソメソするお子さん。
積極的で勇気のある子になるようにと、
今まで一生懸命に叱ってきたお母様。

 

情けないと思っても将来が心配でも、
叱らない方が良い訳をお分かり頂けたでしょうか?

 

このコラムでは叱らなければいけないと思っている短所の多くが、
どんな才能に成長するかを、お話しさせていただきます。
次回は神経質で理屈っぽいお子さんの才能です。

 

ついついイラついたり、ムカついたりして怒ってしまうような、
お子さんの問題行動や直らない癖。
そんな短所に困っているお母様は、
「これってどんな才能なの?」と、質問してくださると嬉しいです。
出来るだけ状況を詳しくお書きくださいね。

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