【自閉症の子供のくり返し行動】原因と対処法は?
漫画:moroさん
同じ行動を何度もくり返すのは、自閉症の子供の特徴の一つです。
クルクル回ったり、手を叩き続けたり、同じ言葉を延々と喋っていたりといった具合で、子供によって多種多様なようです。
私には自閉症の娘がいますが、一日に何度も姉に「お姉ちゃん、お魚さん好き?」と聞いています。
「好きだよ」と姉が答えると、また「お魚さん好き?」「好きだよ」「お魚さん好き?」「好きだよ」・・・と、同じやりとりを10~20回はくり返します。
今回はそんな自分自身の経験を踏まえ、自閉症の子供のくり返し行動について考えていきたいと思います。
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■くり返し行動のパターン
●常同行動
常同行動とは同じ行動をくり返すことで、上記した「クルクル回り続ける」「手を何度も叩く」といった動作もこれに当てはまります。
他にもピョンピョンと跳びはねたり、体を大きく揺すったりといった動きを、自閉症の子供はくり返す傾向にあるようです。
●遅延エコラリア
遅延エコラリアとは同じ言葉や質問をくり返してしまう症状のことで、自閉症の子供によくみられます。
質問された言葉をその場でくり返すオウム返しとは違って、過去の印象的な言葉が唐突に出てくるのが特徴です。
例えば私の娘は「ママ、牛乳嫌い?」という言葉を、突飛な場面でよく繰り返します。
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■くり返し行動をする理由
●気持ちを落ち着かせたい
自閉症の子供は、不安を感じた時の気持ちの整理が苦手です。
そんな時は、やり慣れている行動をくり返すことで気持ちを落ち着かせようとします。
場面の変化が苦手な自閉症の子供は、手を叩く様子など、見たことのある景色を意図的に視界に入れることで安心を得ることが出来るのです。
●楽しいからやめられない
ただ単に、それが楽しいからという理由も考えられます。
跳んだ時の揺れる視界が楽しい、回った時の流れる世界が楽しい、といった具合です。
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●音を消したい
感覚過敏のある子供は、不快な音を消したいがために何度も手を叩いたり大きな声を出したりすることがあります。
●聞いたことを忘れたくない
自閉症の子供は、記憶の仕組みが特殊です。
記憶の古い・新しいが私達のように明確ではなく、大分前の記憶も昨日のことのように記録されている場合があり、印象的な事柄を忘れないようにくり返し口にするようです。
娘が「ママ、牛乳嫌い?」とくり返すのは、ママが牛乳嫌いだということを覚えておきたい、という気持ちの表れなのだと思います。
●コミュニケーションの手段
コミュニケーションの苦手な自閉症の子供は、限られた言葉の中で他人との対話を楽しむことがあります。
自閉症の娘が姉に幾度も「お魚さん好き?」と聞いて「好きだよ」と答えさせるのは、「お魚さん好き?」「好きだよ」という言葉のリズムが楽しいからなのだと思います。
オススメ本
「自閉症の僕が跳びはねる理由」
自閉症の作者によって書かれたこちらのベストセラー小説は、「どうしてこの子は何度言っても同じことをするんだろう?」「この子に、私の想いは伝わっているんだろうか?」という自閉症の子供を持つ親の悩みに分かりやすく答えてくれています。
読んだあとは子供との距離が縮まり、あたたかい目で子育てにのぞむことができるでしょう。ぜひ一度手に取ってみてください。
■対処法
●原因を知る
くり返し行動は、他人に害を及ぼしていない限り無理にやめさせる必要はありません。
ですが、どうしてそんな行動をくり返しているのか原因を追究することは大事です。
くり返し行動によって不安を解消しようとしている時は、優しく見守り「大丈夫だよ」と声をかけてあげましょう。
感覚過敏による音が原因の場合は、音のしない場所に連れて行って安心させてあげましょう。
●「すること」を明確にする
くり返し行動が学習の妨げになっていたり人目を引いたりしているようなら、「すること」をはっきりとさせてあげます。
学習中なら、取り組んでいる内容が難しいのかもしれません。
内容が分かりやすくなるよう、工夫してあげてください。
病院の待合室などのじっとしていないといけない場面なら、身近にあるもの(スリッパでもティッシュなんでもいいです)の数を一緒に数えたり並べたりして、目的を与えるようにしましょう。
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●SST
遅延エコラリアの場合は、この場面ではこういった受け答えをするといった、SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)が有効になってきます。
SSTは専門の機関で療育を受けることも出来るし、家庭でも取り入れることも可能です。
※SSTとは、社会で他人と関わりながら生活していくために必要な能力を身に着ける認知行動療法のひとつ
オススメ本
「あたまと心で考えようSSTワークシート」
「お魚さん好き?」「好きだよ」・・・。
自閉症の娘と姉との延々と続くやりとりは、私をいつもハラハラとさせます。
3・4回ならまだ「しつこいな~」で済まされるのですが、10回以上にもなると異様で、姉がしびれを切らして怒り出すんじゃないかとか、他の子供にも同じようなことをやっているのではないかとか、そんな思いで胸の奥がモヤモヤとしてしまうのです。
ですが、娘がこのやりとりの終盤に必ず言う言葉があります。
「お姉ちゃん、ごめんね」。
その度に、私はハッとさせられます。
「お姉ちゃん、ごめんね」の一言は、娘がこのやりとりによって姉に不快感をもたらしていることを分かっている証拠でした。
おそらく、自分が他人に迷惑をかけていることも理解しているのでしょう。
それでも、娘はコミュニケーションの手段としてのこのやりとりをやめることが出来ないのです。
他人に迷惑をかけながらも生きていくのはもちろん辛いことで、自閉症の子供はいつも窮屈な思いを抱えています。
そんな子供達を優しく見守り、少しずつでも正しいコミュニケーションの手段を教え、生きることのもどかしさから解放させてあげられたらいいですね。
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