【自閉症】「自閉症児のこだわり」は治した方がいいの?

   

自閉症児のこだわり
漫画:moroさん

自閉症は先天的な脳機能障害で、社会的な能力に何かしらの問題がある状態をいいます。

・言葉の遅れ
・コミュニケーションの難しさ
・感覚過敏
・パニック

などがよく挙げられる特徴で、中でもパニックはこだわりの強さが起因となっているケースが多いようです。
私にも幼い自閉症の娘がいますが、端から見れば奇妙なこだわりを多く抱えていて、「このままでいいんだろうか?」と時々考えてしまいます。

今回は自分自身の経験を踏まえつつ、自閉症の子供特有のこだわりについてお話ししたいと思います。

■自閉症児のこだわりの例

『こだわり』は何かしらの物事に執着している状態をいいます。
世の中にも車のインテリアやオシャレなど、こだわりを持って生きている人は多いです。けれども、自閉症の子供のこだわりは一見して「何でそんなことにこだわるの?」と見受けられるような場合が多く、社会生活を送る上で支障になることがあります。
それでは、自閉症の子供のこだわりにはどういったケースがあるのかを、まずは見ていきましょう。

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●お気に入りの物へのこだわり

この服じゃないと出かけないだとか、このお茶碗じゃないとご飯を食べたくないだとか、物に対するこだわりは自閉症の子供ではなくても見受けられます。
ですが、ある程度の年齢になると我慢が出来るようになりますが、自閉症の子供はいつまでもこだわり続ける傾向があります。

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私の娘も服に対するこだわりが強く、前日に必ずヘアゴムから靴下までのトータルコーディネートを完成させて寝ます。
あまりにも汚れていたりちぐはぐな組み合わせだったりして、違う服に変えるように促すと、ご近所中に響くような大声でいつまでも泣きわめき、洋服に噛みついて引きちぎろうとし始めます。
また、ものの位置がいつもと同じでない時や、自分の物に誰かが触れようとした時にも癇癪を起します。

ドアや窓の開け具合や、男の子の場合は車や電車にこだわりを見せる子供も多いです。

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●ルーティンへのこだわり

自閉症の子供は一日の中でいくつかのルーティンを取り決めていて、そのルーティンが崩れた時にもパニックを起こします。

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例えば私の娘は、幼稚園から帰ったら通信教材をして家族全員の洗濯物をたたむというように、いつの間にか流れが決まっていました。私がたたもうとしたら「たたまないで!」と怒り出し、私がついついたたんでしまった時は、1~2時間は裕に泣き続けていました。

それから、どこかに出かけた時はまずはトイレを確認するというこだわりもあります。ショッピングセンターに着いたら「トイレ!」を連呼し、連れて行ったら用を足すのではなく空いている個室を見て回ります。そのこだわりを終えれば、問題なく買い物について来るようになります。トイレに連れて行かないと、いつまでもぐずぐずとしています。

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●動作へのこだわり

突然ぐるぐると回りだしたり、手をひらひらとさせたり、体をゆすり出したりといった、常同行動と呼ばれる繰り返しの動きをすることもあります。
他人の目を気にして無理にやめさせようとすると、パニックになることもあります。

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■こだわりの理由

自閉症の子供は、どうしてこだわりが強いのでしょうか?
考えられる理由を挙げてみます。

●安心を得るため

自閉症の子供は、イメージすることが苦手です。

例えば、病院に行けば「これからお医者さんのところに行って診察をするんだな」というように、私達は無意識のうちにある程度先のことまでイメージします。ところが自閉症の子供はイメージが上手に出来ないので、私達の何倍も不安を抱えています。言わば、目隠しをされてどこに行くかも分からない車に乗せられているような気分なのだと思います。そういった時に、見慣れた動きをとることによって自分を安心させているのでしょう。

ルーティンへのこだわりも、同じように安心を得るためのものだと考えられます。予定をイメージすることが難しいので、ルーティンワークによって不安から逃れようとしているのです。

●好きだから

好きなミュージシャンだったり、服のブランドだったりといったように、好きなことにこだわるのは、誰にでもあることです。
自閉症の子供の場合も、同様の原因が考えられます。電車や服は、好きだからこそずっと眺めていたかったり、着ていたかったりするのだと思います。ですが人並み以上に固執するため、社会生活を送る上で弊害になってしまうのです。

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■こだわりへの対処法

それでは、こだわりにはどう対応したらいいのかをご説明します。

●予定やルールをはっきりさせる

自閉症の子供の不安を和らげるためにも、一日の予定はしっかりと把握させましょう。急な変更がある場合は前々からしっかりと言い聞かせ、行く場所の画像を見せたりパンフレットを見せたりして、視覚に訴えます。

また、こだわりの行動にあまりにも時間がかかる場合は、ここまでやったら終わり、というルールを作ります。

例えば、電車をずっと眺めていたがる子供には「3台電車が通ったら見るのは終わり」と言い聞かせます。はじめはぐずるかもしれませんが、習慣化すればそのうちすんなりとルールを受け入れますので、めげずに取り組んでください。

●こだわりを前向きに捉える

こだわりをマイナスではなく、プラスに受け止める方法です。

私の娘は服に対するこだわりが強いので、裁縫に興味があるのでは考え、針と糸を持たせて縫い物をさせています。
飽き性の娘ですが縫うことには夢中になるので、やはりそういったことが好きなのだろうと思います。裁縫を始めたからといって服に対するこだわりがなくなるわけではありませんが、「上手だね」と色々な人に褒められることで、自信に繋がっているようです。

●コミュニケーションの練習

こだわりがトラブルになっている場合は、時間をかけてでも治す必要があります。
よくあるのが、貸し借りのトラブルです。
自閉症の子供は自分のものに対するこだわりが強いので、「かして」「いいよ」のやり取りがなかなか出来ません。
そういう時は絵に描いて、「『かして』と言われたらどうする?『いいよ』って言う?『イヤッ!』って言う?」と図式のクイズに取り組ませましょう。
『いいよ』の選択肢が正しいことを漠然とでも分かったようなら、今度は実践です。大人よりも、出来れば同世代の子供に協力してもらいましょう。
「イヤって言われたらお友達はどんな気持ちかな?」と相手の気持ちを細かく説明しながらトレーニングしてください。

貸し借り以外のトラブルも、同様に視覚を利用したり相手の気持ちを教え込んだりすることで、効果が期待出来ます。

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■まとめ

自閉症の子供のこだわりは、社会で生きていく際に支障となる場合は治した方がいいでしょう。根気が必要ですが、時間をかければ少しずつ改善されていきます。ですが、これといって他人に迷惑をかけてない場合は無理に治す必要はないでしょう。無理に決めた行動をさせるとストレスになり症状を悪化させてしまう可能性があります。

成長とともに、子供のこだわりも変わっていきます。悲観的にならず、子供の全てを受け止めるつもりで、前向きに子育てしていきましょう。

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