ビクビクの専門学校生活!しかし悲しみとヤバイキノコは突然やってきて…【性被害に遭って10年ひきこもった私が娘と出会うまで⑫】 by たんこ
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幾多の不合格にも何故か屈せず、東京の医療系専門学校に入学した元ひきこもりの私。
夜間部のクラスメイトは不審者丸出しのコミュ障にも優しく接してくれ、
これからの学生生活に明るい光が差し始めた…のですが…
◆今までのお話
【性被害に遭って10年ひきこもった私が娘と出会うまで】シリーズ一覧
この学校、いや、医療系専門学校にはあるルールがありました。
それは…
“すれ違った先生方、クラスメイトすべてに挨拶する”
というルール。
「…え?普通じゃない?」
と、思われる方、いらっしゃるかもしれない。
いや、それが大半かもしれない。
ですが私は10年ひきこもった歴戦のコミュ障。
通信制高校の三年間をノー会話でフィニッシュしたコミュ障。
えええええぇぇぇぇぇぇ…!!!!
ここで少し、学生生活への自信が揺らぎます。
挨拶なんて、正直家族にもまともにして来なかったこの10年…
そんな私が、すごい先生方、キラキラしたクラスメイトのみんな、
エネルギッシュな昼間部の若者たちに無差別に挨拶しなければならない…
き…
キツい…
しかし、私が目指すのは医療従事者。
挨拶すらできないなんて、話になりません。
このことを現役教師の友人Bに相談すると…
『相手の目を見られなかったらそれでもいい。
ただ、相手の方を向いて呪文を唱えるだけ!!』
という、RPGの効率的なレベル上げのようなアドバイスをいただきました。
これは、コミュニケーション能力を上げるためのレベル上げ…!
私はその方法でなんとか、すれ違う人すべてに挨拶を繰り返し
いつの間にか、無視されてもなんとも思わない無差別挨拶ウーマンになるのでした。
最初はドキドキだった挨拶も、慣れてくれば、話したことがない人と、キラキラした人たちと、
言葉を交わすことが出来る貴重なチャンス。
挨拶が返ってくれば超ラッキー!という気持ちで、私は今も挨拶を続けることが出来ています。
このスキルは保護者になった今でも役に立ち、
子どもの園や小学校でそれなりに無視やハブは経験しましたが、
なんとも思わず挨拶を続けられています。
ドキドキの上京&入学を経て、なんとか学校に馴染もうと努力する日々。
友人Bは我が子を送り出したかのように、一日に何度も応援メールをくれました。
一方で友人Aは退院し、実家に戻っていました。
たまにメールや電話をくれたのですが、慣れない勉強や一人暮らしに奔走する私は
少しずつそのメールや着信を放置するようになっていきました。
Aからのメールはどうしても未来に対する不安や苛立ちが中心になっており、
下手なことは言えないという緊張感が、軽い気持ちで携帯を手に取れない
要因になっていました。
ある日、なんとか時間と気持ちに余裕が持てた日、
久しぶりに電話をかけます。
『…たんこちゃん、頑張ってる?』
久しぶりに聞いた声は、思っていたより穏やかでした。
ほっと一安心して、私は近況を報告。
Aもリハビリを頑張っていること、不仲だった父親と打ち解け始めていること、
職場のみんなが帰りを待ってくれていること…いろいろなことを話してくれました。
(なんだ、大丈夫そうだ…)
ホッとしていると…
『俺に障がいがなかったら、たんこちゃんはずっとここにいてくれた?』
…え?
「な、なに言ってるの…?私は…」
『俺が健常者だったら一緒にいてくれたよね?』
穏やかな近況報告から一転、とんでもない、衝撃の言葉でした。
「そんなこといったら、私だって病気があって、健常者じゃないし…!
一緒にいるとか、いないとかじゃなくて…私は…」
私が希望に満ち溢れる新生活に浮かれている間に、友人Aは冷たい孤独の中にいました。
“私はあなたのために入学した”
なんて押しつけがましいこと、とても言えませんでした。
お互い言葉を失って、そのまま終わってしまった最後の電話。
この数日後、友人Aは亡くなってしまいます。
一人暮らしの家は、彼が亡くなろうが何も変わらず、
学校へ行けば、優しいクラスメイトたちが変わらずに声をかけてくれる。
ですが私の心には大きな穴がぽっかり空いてしまいました。
何せ、この学校に入学したのは、友人Aのリハビリを支えたいという気持ちからでした。
入学式から一ヶ月も経たずに、その大きな志望動機が消えてしまった。
両親のせっかくの協力を裏切らないように、
なんとか気持ちを奮い立たせて学校へ通い続けていましたが
胸に沸き立つのは、罪悪感と後悔ばかりでした。
楽しいはずの勉強も、クラスメイトとのささやかな会話も、どこか上の空。
ですがここで、ある大きな出来事が起きます。
それは…
席替えで隣の席に、とんでもない陽キャがやってきたことでした。
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