【 自閉症 】 自閉症児の自傷行為 の原因とサポートについて

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漫画:moroさん

自閉症の方には、「自傷行為」という特徴的行動がみられます。
「自傷行為」は「自殺行為」と混同される事が多いですが、全く違うものです。自傷行為は死ぬために行うものではなく、やめたいけどやめられないものなのです。

自傷行為は、意識的・無意識的とは関係なく、自分を傷つける行為をいいます。
今回は「自傷行為」の原因・心理状況・対処方法などを、ご紹介します。

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●自傷行為の分類

自傷行為にも様々な種類があります。その中で自分では自傷行為だと気付かない場合もありますが、詳しくご説明していきます。

A.自分の体を切りつける
リストカット(手首)が代表的な場所といえます。自らの体を刃物などで傷つけます。

B. 自分の頭を壁や机に強く打ちつける・体を硬い物に強く打ちつける、自分の体を殴る・叩く・噛みつく
自らの体を痛めつけ、心の苦痛を体の苦痛へと変換します。
周りには理解されがたい行為ですが、本人は非常に苦しんでいます。やめたいけどやめられない苦しい状態です。

C. 自分の髪の毛を抜く・眉毛やまつ毛を抜く、爪を噛む・爪を剥がす・皮をむく
自分の髪の毛を抜いてしまう行為。抜毛症(ばつもうしょう)とも言われる。
こちらもよく知られた自傷行為ですが、やめたくてもやめられない行為です。抜毛症(ばつもうしょう)ともいわれます。
爪を噛むという行為も自傷行為に含まれます。爪が潰れてしまうほど噛んでいる場合には自傷行為の可能性が高いです。子供の時の育った環境が影響していると考えられています。

D. 自分の体を殴る・叩く・噛みつく
心の苦痛を体の苦痛へと変えようとする行為です。やめたいけどやめられない苦しい状態です。

E. 首絞め・練炭を使った自殺未遂
自分の首を絞めて呼吸困難な状況をわざと作ったり、練炭を使って自殺未遂を行います。
自傷行為が、どんどんエスカレートしてしまうと、このような行為をしてしまいます。

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●「自傷行為」の背景

なぜ自傷行動につながっていくのか、それぞれ見ていきましょう。

・他人とのコミュニケーション困難さ
自閉症の子供は、一般に言語の発達が定型より遅いのです。そのため、自分の意志がうまく伝えられず、そのもどかしさのため、またはその意志や要求を伝えるための手段として、自傷行動を起こします。

・刺激への「敏感さ」や「鈍さ」
感覚が人一倍敏感だと、日常生活を送る上で強い刺激を受けやすくなってしまいます。
例えば、周りの物音が大きく聞こえたり、光(太陽やテレビ画面など)が眩しく見えたりするなどにより、不快感・イライラを感じます。
逆に感覚が鈍いと、普段の刺激に物足りなさを感じたり、自傷行動の痛みを感じにくくなり「自傷行為」走りやすくなったりします。

・余暇の過ごし方が上手でない
やることがなくなった時、暇のつぶし方がわからないことで手持ち無沙汰になってしまう場合、健常者には安易と思われる自傷行為をしてしまいます。

・周囲の注意をひきたい・ものや活動の要求を叶えたい。
言語の発達が未熟なことが原因です。自分の意志が伝わらないとき、大人の注意を引くため自傷行為をしてしまいます。

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●自閉症の自傷行為に対する周りのサポート

自閉症の子供に対する周囲の気配りとして以下の事を配慮すればよいでしょう。

・見通しを持って生活できるように配慮する→恐怖心や不安感を抱かせない。

・肯定的な、わかりやすい表現で話す→大きい声で叱ったりしない。ベラベラと早急な話し方をしない。

・視線を同じ高さになるように身をかがめて、優しく話す→強引に自分の意見を頭ごなしに言わない。

・理解できる方法で、コミュニケーションをとる→相手の年齢を無視した一方的な言い方をしない。

・失敗に気を取られていたら、成功したことへ話題を切り替えて褒め、気をそらしてあげる→失敗したことをクドクド何度も話さない。

・大人の力で行動を阻止・無理強いせず、何をすべきかわかる方法で提示する→手をあげたり、乱暴な接し方をしない

・感覚過敏の子が多いので、余計な接触、嫌がる接触は避ける→騒音が大きい所や眩しい所などで話さない。

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●薬物によるサポート

自傷行為について、いくつかの治療薬をご紹介します。
薬を用いるのは本人・家族にとっても不安です。まして精神科の薬となるとなおさらそうです。
薬を使うと神経心理が改善されて、療育しやすい状態になると言われています。専門家に相談の上、検討してください。

・SSRI
自傷行為(リストカット)の治療で現在最もよく使われているのは、セロトニンの減少を防ぐSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬といわれる抗うつ薬のひとつ)です。
SSRIは、衝動性をやわらげ、自傷行為(リストカット)の行動を減らします。

・気分調整薬
衝動性や攻撃性を鎮めます。

・抗精神病薬
気持ちを鎮めたり、興奮や衝動をやわらげます。

・抗不安薬
気持ちの緊張や不安感を鎮め、自傷行為の危険性を減らす効果があります。

薬物療法において、薬を飲まなかったり、用法・容量を守らないのは、間接的に自分を傷つけることになりますので、本人・家族とも薬の管理は十分に行ってください。

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●まとめ

1. 自傷行為の種類には幾つかありますが、これらは本人がやりたくてやっている訳ではない事に気づきましょう。

2.自傷行為の原因としては、言語の未発達が基本となっています。自閉症者の能力に合わせたコミュニケーション方法を選択しましょう。

3. 自閉症の子供に対する周囲の気配りリストを作成するなど、日頃から付き合い方を覚えましょう。

薬にばかり頼って、療育(治療教育)を怠ってはいけません。あくまでも重要なのは症状に合った療育を受けることで、薬はそれをスムーズに進めるためのサポート役と考えましょう。

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