命を絶つために、息子と駅のホームに向かったあの日。目の前に現れたのは…【アホ夫婦が産後うつ・産後クライシスから回復するまで㉒】 by たんこ

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私は、息子の手をもう一度、ぎゅっと握りました。
たくさんの人に迷惑がかかる。とんでもないことになる。
そんなこと、わかっていたのに、
私の頭は、それが最善策なんだと訴えていました。
頭の潤滑油が切れたように、私の頭はもう、それしか考えることが出来ませんでした。

すると…

 

 

「お母さん」

 

ふいに肩を叩かれ振り返ると、見知らぬ男性がこちらを見ていました。

 

 

「坊や、電車、好きなんだね」
「おじさんも、昔から好きだよ」

やわらかい口ぶりでそう続ける男性の傍らには、
不審な様子を気にして連れてきてくれたのであろう、駅員さんの姿もありました。

「坊や、良い顔してるね」

 

 

「お母さんが、頑張ってるからだよ」

 

 

見ず知らずの、今日出会ったばかりの男性から出た、その言葉。
優しく、それでいて強く、頭が揺さぶられるようでした。

 

 

あれほどやんちゃな息子が
ホームに入ってくる電車に駆け寄ることもなく、
ずっと私のそばにいてくれました。
小さなその手で、泣きわめく私を、ずっと撫でていてくれました。

 

なんてことをしてしまったんだろう。
私は、この子を殺そうとしたんだ。
一番の味方である息子を。
何も悪いことなんてしていない息子を。

私は、このままでは子どもを巻き込んでしまう、
もう、一人ではどうしようも出来ないレベルになってしまった。
そう確信しました。

 

つづく

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作者:たんこさん

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