孫を実家の跡取りに!どうしても男の子が欲しい毒母【ママ行政書士の相続遺言相談室④~跡取り問題に悩む実家の親たち~】 by まえだあい
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少子化の現代で「家」を残し続けるのは無理がある
お殿様が側室を迎えてお世継ぎ候補をたくさん産ませていた時代や、10人兄弟が当たり前の時代が過去にはありましたが、今の時代そんな大家族は本当にまれですよね。
谷口家が、二女さんの産んだ二男坊を養子に向かえて一代延命できたとして、その子供が結婚して男の子が生まれる可能性がどのくらいあるのでしょう。
そもそも、二女さん夫婦の了解がとれるかどうかも怪しいところです。母方の祖父母と養子縁組をすると姓が変わるので、そこがネックになると思います(結婚するときに妻の姓を選んで届出された方は変わりません)。
お母さまの言い分では、二女が婿養子を取らずに長男と結婚するのを許した代わりに、二女が男の子を2人産んだら、1人はあちらの家の跡取り、もう1人は谷口家の跡取りにもらうそうです。
そのナチュラルな毒母思考が恐い!
親世代がどうして「家」を守ろうとするのか
長女さんも二女さんも、谷口家から生まれた実の子どもであり、谷口家の財産を相続する権利があります。
結婚せず子どもを産んでいないから、結婚して他の姓になっているから、谷口家の財産を渡さないという考えは法律上は正しくありません。
確かに農家さんや、家業のあるご家庭の場合は跡を継ぐ人を決めて財産を分散させないようにしないと継続が難しいため、対策しなければならないです。
しかし、そうではない一般家庭において、なぜ自分の代で〇〇家が無くなることに恐怖するのか。
実は、新民法の法定相続なんて関係なく、長男が全ての財産を相続するということが過去に行われてきたため、今の代で跡継ぎが無く、他の家に財産を分散させたとなると親戚に顔向けできないそうなのです。
これまで、二男で跡取りじゃないから、女で嫁に行ったから、と少額で(または1円も払わずに)ハンコを押してもらって(もしくは押させて)きたわけです。
そんな理不尽を受けてきた親戚がご近所に住んでいたらと思うと…確かにお母さまの「家と墓を守らねば」というこだわりようも分かる気がします。
お母さまが抱えている「長男の嫁なのに女の子しか産めなかった」という負い目は、私では想像できないくらいの辛さがあったのだと思います。
とはいえ、お孫さんは家を守るための道具ではないので、お孫さん自身が理解し判断できる年齢になってからするべき相談でしたね。
「〇〇家最後の世代」になることを想定する
これから先の未来は、皆さんが〇〇家最後の世代になることを想定していかなければなりません。
〇〇家が無くなる、〇〇家の墓を見る人がいなくなる、こういうことはもう止められません。
私たちのような専門家は、遺言書や墓じまいなど終活に関するアドバイスはできても、その家の歴史やご先祖様を大切にする気持ちなどはそれぞれの家のことです。
今まで積み重ねてきたものが家が終わるのと一緒に消えてしまうのは寂しいものです。
次の世代に文化や慣習、先祖代々の歴史を伝えていくためには、自分自身がルーツを学ばなければなりませんね。
無くなりつつある時代だからこそ、強く感じます。
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作者:まえだあいさん
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