自閉症児のパニック!そんな時どう対応したらいいの?
漫画:moroさん
自閉症の子供の特徴の一つに、パニック行動があります。
もちろん、急なハプニングがあれば誰でもパニックになることはあります。
ですが、自閉症の子供は一見して何の変哲もない場面でパニックを引き起こすケースが多く、
「どうしたんだろう?」
「何があったんだろう?」
と必然的に周りの視線を集めてしまいます。
そんな時、付き添っているお母さんはとても辛い思いをします。
注目を浴びるだけで、今までの子育てを全否定されているような、悲しい気持ちになってしまうのではないでしょうか。
今回は、そんな自閉症の子供のパニックの原因と対応について考えていきたいと思います。
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■自閉症児のパニックの種類
自閉症の子供のパニックには、どういったものがあるのでしょう?
まずは、パニックのパターンを分析していきたいと思います。
●大声を上げる・泣きわめく
一番よく見られるのが、大きな声で叫んだり激しく泣きじゃくったりする行為です。あまりにも大きな声を出すので、周りをびっくりさせ、その場にいた小さな子供を泣かせてしまうこともあります。
●激しく拒絶する
泣きわめくというほどではありませんが、まるで二歳児のイヤイヤ期のように、何を言っても「イヤ!」と聞く耳を持たないことがあります。単に強情な性格のようにも見えますが、自閉症の子供の場合はイヤイヤ期とは原因が異なります。
●暴力
暴力的な行動をとることもあります。自分の腕に噛みついたり、激しく頭を叩いたり、髪の毛を抜いたりといった自分に害が及ぶ行為を『自傷行為』。お友達やお母さんを叩いたり、引っ掻いたりといった他人に害が及ぶ行為を『他傷行為』といいます。
●その場にそぐわない行動
静かにしていないといけない場面で、突然脈絡のないことを大声で話しだしたり、激しく手をブラブラとさせたりすることもあります。
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■原因
では、どうして突然パニックになってしまうのでしょう?
そもそも、自閉症の子供は私達とは感覚が異なります。
人の声だけがザワザワと耳もとで響いていたり、あちらこちらにあるカラフルな色彩がこちらに迫ってくるように感じていたり、過去の記憶の中をぼんやりと行き来していたり、といった独特の世界の中を一人で歩んでいるのです。
そのことを踏まえた上で、自閉症の子供がパニックになる原因を探っていきましょう。
●音や匂いが気になる
自閉症の子供は、多くの場合『感覚過敏』という特徴を持っています。
『感覚過敏』とは、ある一定の感覚が人並み以上に敏感な状態のことで、『聴覚過敏』や『嗅覚過敏』などがあります。
この『感覚過敏』が原因で、パトカーのサイレンの音が気になったり、慣れない匂いを不快に感じたりして、気持ちが不安定になることがあるのです。
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●欲求が抑えきれない
例えば「あのおもちゃ屋に行きたい」と子供が言った時に「時間がないから駄目」と要望を拒否すると、途端にパニックになることがあります。
これはどんな子供にでもあり得ることですが、年を重ねるにつれ、普通は欲求を抑えなければならないことを学んで落ち着いていくものです。ですが自閉症の子供は気持ちのコントロールが苦手なので、いつまでも小さな子供のように駄々をこねることがあります。
●嫌なことを思い出した
自閉症の子供は、私達とは記憶の仕組みが異なります。
私達の頭の中では記憶が時系列順に並んでおり、過去に起こった出来事ほど薄れていく傾向にあります。
ですが自閉症の子供の記憶の時系列はバラバラで、大分前に起こった嫌な出来事を、まるで今しがた起こったばかりのようにふっと思い出してしまうことがあるのです。上機嫌でショッピングモールを歩いていたら、突然「トマトは嫌いだって!」(過去にトマトを食べるように促された経験がある)と泣き叫ぶような状態がそれに当てはまります。
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●怖い
自閉症の子供は、変化を怖がります。
だから、予定外の行動をしなければいけなかったり、行ったことのない場所に連れて行かれたりした時に、恐怖心からパニックを引き起こすことがあります。
●気持ちを伝えられない
他者とのコミュニケーションが苦手なので、自分の気持ちをうまく言葉に変換できないことが原因で、イライラとして癇癪を起すこともあります。言葉の発達の遅れが目立つほど、大きなストレスを抱えています。
■対応
パニックになった子供は、たいてい何を言っても聞かないものです。ですが、怒るのは厳禁です。怒ってしまえば「お母さんに嫌われた」という気持ちからよりパニックになってしまい、ますます手をつけられない状況になりかねません。では、どう対応すればよいのでしょうか?
●安心できる環境を作る
音や匂いが原因の場合は、その子が安心できる場所まで連れて行ってあげましょう。
移動できない場合は、そっと抱きしめて音や匂いから守ってあげましょう。
あまりにも『聴覚過敏』が激しい子供の場合は、あらかじめ音をシャットアウト出来るイヤーマフの使用も検討してください。
●見守る
突然嫌なことを思い出して不穏になっている場合は、背中をさすりながら「今は大丈夫だよ」と優しく声をかけてあげましょう。
お気に入りのおもちゃを出して気を逸らしているうちに、嫌なことをふっと忘れてしまうこともあります。
駄々をこねている場合は、まずは「おもちゃが欲しいんだね。かっこいいもんね、そりゃ欲しいよね」などと気持ちを受け止めます。そして「お誕生日に買ってあげるね」と約束をしたり、他のことへと気を逸らしたりしてあげましょう。
けれども、子供の癇癪はこれぐらいのことであっさりと治まるものではありませんよね。そういった場合は、落ち着くまでそっと見守りましょう。
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●絵カードを使う
自閉症の子供は、視覚からの情報のほうが受け入れやすい傾向にあります。
そこで有効なのが、絵カードです。絵カードは自分で作成してもいいし、ネット通販などで購入してもよいでしょう。
『歯みがき』『ご飯』などの絵カードで一日の流れをあらかじめ教えたり、『ショッピングモール』『幼稚園』などの絵カードでこれから行く場所を示したりして、安心させてあげましょう。
見通しを明確にすることで、驚くほどパニックが少なくなることもあります。
また絵カードは「こんな時は、こう答える」といったコミュニケーションの練習にも役立ちます。
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●投薬
暴力的な行動があまりにも目立つ場合は、薬物の使用も視野に入れましょう。
大きくなるにつれ力も強くなり、パニックによる暴力行為が深刻な事態を引き起こす可能性もあります。そうなると親子ともども苦しい思いをしますので、医師の指導のもとに、気持ちを落ち着かせる薬の服用も検討してみてください。
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■まとめ
自閉症の子供のパニックは、あらかじめ対策をしておくことが一番効果的です。
予想外のパニックが起こった場合も決して慌てず、落ち着いて原因を見極め、次に活かしましょう。
一番辛いのは、周りにいる人達でも、一緒にいる家族でもなく、子供自身です。そのことを常々頭に置いて、子供と接するように心がけましょう。
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