性被害から10年…引きこもりを経て入学した通信制高校。しかし病魔は突然やってきて…【性被害に遭って10年ひきこもった私が娘と出会うまで⑨】 by たんこ
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好酸球性胃腸炎は現在も治療法が確立していない難病で、
日本には患者が千人あまりしか存在しない、希少難病でした。
症状は激しい腹痛、下痢、血便など。
今まで食中毒も未経験だった私には、かなりショッキングな症状でした。
しばらく検査入院することになった私に、ネット友達AとBはかなり動揺していました。
そして何故か突然、重大な事実を打ち明けてきます。
「ごめん、落ち着いて聞いてほしいんだけど…」
「私たち、男なのよ…」
なぜ、このタイミングで打ち明けてきたのか。
とりあえず、私の身に命の危機が迫っていると思ったのか、駆けつけたくなってしまったそうです。
「そ、そう…」
今まで、ずっと女性だと思っていたAとB。
彼らには、私がひきこもったきっかけとなった経験のことも、なんとなく話していました。
女性だと思っていたから。
ですが彼らも彼らなりに苦悩があったらしく、
性別を明かしてオタク活動していた際に熱狂的なファンがついてしまった経験があり、
性別を伏せて活動するようになったそうです。
好きなものを好きと言うのに、性別は関係ないと思っていたから。
特に、彼らが推していたのは男性キャラクターで
周囲に女性が多かったこともあり、打ち明けることができなかったそうです。
まあ、そんなことはどうでもいい…
私は彼らの作る作品が好きで、それには性別なんて関係ありませんでした。
そして彼らとの会話が楽しくて、いやなことを忘れられたのも、心が助けられているのも、事実です。
この真実で彼らを嫌いになるなんてことは、ありませんでした。
実際に会うこともないだろうし…。
「お見舞い行っていい!!?」
「いやいやいやいや…」
「ごめん、気持ち悪くて…!でも、居ても立ってもいられなくて…」
「いや!まだ死ぬような病気じゃないから!!大丈夫だから来なくて!!」
必死に抵抗する私に、彼…友人Aはテレビ通話を提案します。
私、却下。
私のこんな姿を見られるわけにはいきませんでした。
ですが、彼はこちらのカメラは切っていてもいい、と食い下がってくる。
カメラを切るも何も、私のノートパソコンのカメラはしっかりシールでふさいでありました。
彼の熱意に、私はついに折れ、テレビ電話を受け入れました。
画面の向こうの彼らは、笑いながら、そして泣いていました。
ごめん、ごめんと謝りながら、それでいて、私の心と体を気遣ってくれました。
こちらも自然と涙があふれました。
今まで、恐怖と嫌悪を抱き続けていた男性という生き物に、今まで支えられていたんだ。
私の心を握りつぶして、バラバラにした男性という生き物の中にも、
こんなに優しくて楽しい人たちがいるんだ。
私は、カメラはふさいだまま、でも、繋がっているマイクに向かって、
くぐもった、小さな声で、口にしました。
「…ありがとう」
私は、入院ハイか何なのか、そのまま彼らのお見舞いを許可してしまいました。
病院には人目があるから、という変な安心感もありました。
お見舞いにきた彼らは、初めて会ったとは思えないような安堵を私に与えてくれました。
私の姿をみても顔色ひとつ変えずに、何事もなかったかのように、受け入れてくれました。
私が脱ひきこもり出来た理由。
それは、ここで私が男性というものに対する恐怖と嫌悪から
少し脱却できたせいもあると思います。
男性の姿をした彼らの心は、いつもの楽しい、ちょっとおせっかいな友人たちでした。
ちなみに、この友人Bがのちに私の産後鬱を支えてくれる、しいたけになります。
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作者:たんこさん
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