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再び壊れていく心を救ってくれたのは…そして、宿ってくれた新しい命。【性被害に遭って10年ひきこもった私が娘と出会うまで⑬】 by たんこ

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「そんなことして、親父さん喜ぶと思うか?」

バカで世間知らずであり続ける私のアホな選択を、
真剣に叱り飛ばしてくれるクラスメイト。

エリンギがまるで母のように包み込んでくれる存在ならば
クラスメイトのお兄さんお姉さんたちは、時に厳しく温かく叱咤してくれる
父のような存在でした。

「ここが踏ん張り時だよ」
「しんどかったら、助けるから!」

「諦めるな!!」

そんな叱咤のおかげで、私はなんとか、専門学校にしがみつくことが出来たのでした。
思えば、不合格の通知のたびに
何度も何度も父の運転で足を運んだ専門学校。
やっとの思いで入学した専門学校。

ここで諦めるなんて、バカにもほどがある話でした。

エリンギとクラスメイトの支えのおかげで、なんとか夏休みを乗り越え、
学校生活を再開できた私。

今まで支えてくれた友人Aと父がバトンタッチするように
エリンギとクラスメイト…いや、新たな友人たちが、私の背中を押してくれていました。

私はつくづく、運のいい人間でした。
面接で「長所は?」と聞かれたら「運がいいところです」と答えるくらい、
人に恵まれた、運のいい人間でした。

エリンギは、もはや実家生活に戻るつもりもなく
当たり前のように私の部屋に住み着いていました。
オンもオフもクソもなく、専門学校で何食わぬ顔で挨拶をしたエリンギと
また家に帰ってきた後、顔を合わせる毎日。

そんな中で、私はエリンギの前では、泣けるようになっていました。
つらいことがあっても、子どもの頃から“泣かない楽な子”だった私が、
葬儀中、家族の前でも涙をこらえていた私が、
初めて涙を流せた場所が、エリンギでした。

一緒に暮らす中で、酒癖、金銭感覚、イライラした時の様子を観察し
ヤバイ傾向があったら速攻追い出そうと思っていたものの、
そこは難なくクリアしてきたエリンギ。

私はこうして、エリンギの謎の心地よさに飲まれ、
決してドキ…ン☆とかキュン…☆とかいう展開もなく、
このキノコと子どもを作ることになります。

それなりにクソなところもあるキノコで、
しかも、女を切らさないタイプのキノコ。
この先、それなりにイライラしたり
産後パワーでボロボロになったりもしたのですが、
私はこの時の選択を後悔したことはありません。

妊娠が分かったのは、寒い冬の日。
珍しく東京に雪の降った日でした。
専門学校が冬休みに入り、久しぶりに実家に帰るエリンギを見送った後、
ひとりではしゃいで雪遊びし、私は風邪をひきました。
アホです。
ですがこの風邪が、普通の風邪とはなんとなく違ったのです。

続いて実家に帰った私は、実家近くの薬局で妊娠検査薬を購入。
一般的に検査で陽性が出る時期より早いタイミングでしたが、
私は謎の自信をもって、検査薬を使用しました。

そして出た、陽性反応。

この時、私も夫もまだ学生。結婚も、言ってしまえば交際すらしていませんでした。
ですが私には、喜びしかありませんでした。
アホです。

急ぎ東京に戻り、近くの婦人科を受診。
エコー検査でしっかりと映ったそれは、小さな小さな、
それでいて大きな命でした。

「おめでとう、妊娠してるよ」

今まで、汚くて、醜くて、何の取り柄もないと思っていた身体に、
宿ってくれた命。

私はモニターを見ながら、涙するしかできませんでした。

「ありがとうございます…ありがとう」

次回、最終回です!

~第1話はこちらから~

作者:⇒たんこさん
インスタグラム kei_mio

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本記事は個人的体験談などに基づいて作成されており、脚色なども加えられている場合もあり、必ずしも各読者の状況にあてはまるとは限りません。この記事の情報を用いて行動される場合、ご自身の責任と判断により対応いただけますようお願い致します。尚、記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。
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