<広告>

再び壊れていく心を救ってくれたのは…そして、宿ってくれた新しい命。【性被害に遭って10年ひきこもった私が娘と出会うまで⑬】 by たんこ

ページ: 1 2

<広告>

   

脱ひきこもりへの背中を押してくれた友人、
そして長いひきこもり生活を見守ってくれていた父を立て続けに喪い
私の心は大きく揺さぶられていました。

◆今までのお話

【性被害に遭って10年ひきこもった私が娘と出会うまで】シリーズ一覧

 

沈み、涙し続ける母や弟の手前、なんとか場を持たせようと
出来るだけ明るく振る舞い続けましたが、心の中はぐちゃぐちゃでした。

“私だったらよかったのに…”

若い頃から家族のために必死に働き続け、一家の大黒柱だった父は
家族にとって大きな大きな、かけがえのない存在でした。
一方で、何の役にも立たず、ひきこもり続けていた私。
私が消える方が、うんとダメージは少なかったはず…

父の死は、心疾患による突然死とは言え、心労も大きく関係していたはずです。
私は精一杯普段通りに過ごしていましたが、心の中では自分を責めるばかりでした。

そんな中、いつも隣にいたのはエリンギでした。

父を亡くしたその日、私は何故かエリンギにマンションの合鍵を渡してしまいました。
その日もマンション近くでアルバイトがあり、家に帰るのもめんどくさいだろう…
という思いから、混乱の中、そんなに深く考えずに鍵を渡してしまった私。

別に、ペットもいないマンションで、ただ転がり込んできたキノコ。
家に帰せばよかったものの、何故か鍵を渡してしまった私。
そして、それを何も言わずに受け取るエリンギ。
その日から、エリンギはひび割れた私の心を静かに支えてくれたのでした。

……しかし、私の心はひび割れどころか
既にぶっ壊れていました。

「私…学校やめる!やめて、実家に戻って、母を支える…!!!」

この時の私は、それが一番の選択だと思っていました。

入学の動機だった友人Aを亡くし、大黒柱だった父も亡くしてしまった。
父を愛し続け、亡くなる直前までラブラブだった母の絶望を思うと、
これからの生活を思うと、
彼女をひとりには出来ませんでした。

実際には、すでに子どもたちも成人し、しっかり稼ぎ、
金銭的な不安を残すことなく逝ってくれた父のおかげで
そんな心配をするには及ばなかったのですが…

私はとにかく、母を一人にしてはいけない!!!
今すぐ母を支えなくてはいけない!!!!

と、暴走していました。

性被害を受けたことを知ってからは、自分の身体なぞ
どうでもよくなっていた私。

性被害を受けた被害者の中には、以後、そのようなことに遭遇しないために
被害のおそれを必死に避けようとするタイプと
もうどうにでもよくなって、自分を安売りし、傷を紛らわせようとするタイプがいます。
私は男性への怒りや嫌悪から、そのような展開になることを今まで避けてきましたが
この時の私は無敵モードでした。

「私なら、どんな仕事だって出来る…!!」

もし、自分の娘が被害に遭って、どうにでもよくなって、
自分のためにこんな選択をしようとしていたら
悲しいにもほどがあります。
ですが、この時の私には、そんな親心はわかりませんでした。

父が亡くなったのは、専門学校の夏休み初日でした。
勉強漬けの毎日の、しばしの小休止…のはずだった夏休み。
私は必死に書き込んだ参考書やノートを眺めながら、短い学生生活の思い出を噛み締めていました。

そんな私を…

「バカもん!!!」

まっすぐ叱咤してくれたのは、専門学校のクラスメイトたちでした。


<広告>

▼次ページに続きます▼

ページ:
1 2

フォローしてたんこさんの最新記事をチェック!

---------------------------------------------
本記事は個人的体験談などに基づいて作成されており、脚色なども加えられている場合もあり、必ずしも各読者の状況にあてはまるとは限りません。この記事の情報を用いて行動される場合、ご自身の責任と判断により対応いただけますようお願い致します。尚、記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。
<広告>

「たんこさんの記事をもっと読む」

 - トラブル, 女の子 ,

<広告>



 - トラブル, 女の子 ,


  関連記事